
AIRsight™
- 密閉セルを用いることで、大気中の成分により変質しやすい試料を、大気に曝露されない状態で赤外、ラマン測定することが可能です。 - AIRsightは赤外測定とラマン測定を両方行えるため、様々な電池部材の充放電による劣化の進行具合を1台の装置で評価できます。
リチウムイオン電池(LiB)は高いエネルギー密度や長寿命、大容量などの特長からスマートフォンや電気自動車など多くの製品に用いられています。しかし、充放電を繰り返すと劣化が進み、容量が低下してしまうことが問題となっています。そのため劣化の原因を明らかにし、進行を遅くするための研究開発が進められています。LiBは主に正極活物質、負極活物質、セパレータ、電解液、ケース等から構成されるため、充放電前後でこれらの材料の変化を調べることで原因を調査することができますが、これらの材料の多くは大気中の水分や酸素と反応してしまうため、大気に曝露されない状態で分析する必要があります。また、これらの材料は材質が有機物や無機物等多岐にわたるため、本来は2種類以上の分析装置を組み合わせた評価が必要です。 本稿で紹介する赤外ラマン顕微鏡AIRsightは赤外顕微鏡内部にラマンユニットを組み込むことにより、これまで別々の装置で行っていた有機物と無機物の分析を1台で行うことが可能な新しい顕微鏡です。試料を移動させることなく同一箇所における赤外・ラマンスペクトルを取得することができるため、微小部における定性精度が格段に向上します。この装置に密閉セルを組み合わせることで、LiBの正極活物質、負極活物質、セパレータの3種の材料を大気に曝露されない状態で測定し、充放電前後の変化を評価した事例をご紹介します。
2025.09.18
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