FTIRを用いた自動車用塗料の熱硬化反応におけるリアルタイム測定

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ユーザーベネフィット

- 塗料の熱硬化反応をリアルタイム測定することで、CO2削減に効果的な硬化条件を決定することができます。 - 今回測定に用いた加熱ATR付属装置では、室温から130℃までの温度帯で測定することができます。 - 1回反射ATR法ではプリズムが小さいため、1滴の試料で測定可能です。

はじめに

様々な国と地域において、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指し、再生可能エネルギーの導入やCO2排出量削減に向けた様々な取り組みが行われています(中国政府は2060年までにゼロを実現予定)。特にCO2排出量の多い自動車業界に注目すると、製造工程におけるCO2排出量の約25%が塗料の塗膜化工程から発生するとされており1)、自動車メーカーおよび塗料メーカーは同工程でのCO2削減に向けた新規塗料開発を進めています。塗膜化工程では塗料を塗布後、高温で焼き付け乾燥を行い、塗料を熱硬化させますが、硬化時間の短縮と低温での硬化が、CO2排出を削減することに効果的であると言われています。 本稿ではFTIRと加熱ATR付属装置を用いて、塗料の熱硬化反応をリアルタイムで測定しました。塗料の熱硬化反応では、塗料の構造が一部変化しますが、この変化する構造に由来した官能基のピークに注目することで、最適な硬化条件を決定することができます。今回は、自動車に使われるアクリルウレタン塗料を測定しました。

2024.04.25