農薬によるトウモロコシ・ダイズ種子処理時のiMScope QTを用いた薬効成分動態解析

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はじめに

農薬による種子処理は、播種初期に効率的な作物保護を提供し、後に使用する殺菌剤の量を減らすことを可能にします。そのため、トウモロコシ、ダイズ、小麦、綿花などの主要作物分野において実用化されている手法です。農薬で処理された種子上の薬効成分は、種子の構造や化合物の物理的性質によって異なる分布を示す可能性がありますが、これまで十分に研究されてはきませんでした。本アプリケーションノートでは、iMScopeQTを用いた質量分析イメージングにより殺菌剤(エタボキサム)をコーティングしたトウモロコシとダイズ種子内における分布を可視化しました。播種前の段階では、ダイズとトウモロコシで対照的な分布パターンが認められましたが、これは種子の構造に依存していると考えられました。また、播種後のエタボキサム分布に関する情報も得ることにより、植物体内における殺菌剤送達経路のより深い理解に貢献するデータを提供することが期待されます。この新しい分析法を用いることで、これまで得られなかった殺菌剤の時間依存的で動的な情報を得ることが可能となり、今後の農薬の開発と使用において、広く応用できる有用なツールになると考えられます。

2024.03.27

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