MALDI-TOF MSを用いた菌体内の組成タンパク質の同定

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ユーザーベネフィット

-eMSTATSolutionの多変量解析とアノテーション機能により、変動している菌体タンパク質を簡単に抽出できます。 -MALDI-ISDにより、酵素消化せずに液体クロマトグラフで単離したタンパク質の同定が可能です。 -ペプチドマスフィンガープリンティングの有効性が低い低分子量のタンパク質の同定に有効です。

はじめに

微生物は培養時間や培養する培地の種類、温度等によって、分析した際に検出される物質に変化が生じます。これは環境ストレスや培養フェーズによって、菌体内の産生物質に変化が生じるためです。この事から、微生物の解析や識別をする場合には、未知菌体の培養・分析を行う前に標準的な菌体を用いて目的物質が産生される培養条件や前処理方法を最適化する必要があります。これらの条件検討では複数の要因を検討する必要があり、分析・解析するサンプル数が多量になることは少なくありません。 Application News No.01-00627では、MALDI-TOF MSと統計解析ソフトウェア eMSTAT Solutionの多変量解析により、外見や菌体数では確認できない差異を明らかにすることができました。また、菌体のような多数のピークが得られるサンプル(図1)であっても、遺伝子情報とアノテーション機能を活用することで、推定されたタンパク質の情報を基にグループ間の特徴の違いを考察できました。 eMSTAT Solutionのアノテーション機能により、培養する時間に伴い発現量が変化すると推定されたタンパク質HdeAは、分子量が一万程度のタンパク質のため、酵素消化しても十分なフラグメント数が得られず、ペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)の有効性が低いと考えられます。 本アプリケーションニュースでは、HdeAを一体型液体クロマトグラフ LC-2050Cで単離し、卓上型MALDI-TOF MS“MALDI-8030”(図2) のイオン源内におけるフラグメンテーション(ISD:In-Source Decay)を利用することでHdeAを同定しました。

2024.03.26