前処理、測定、解析、考察の自動化やAI補助による効率的な一次代謝物解析法の検討

ダウンロード

ユーザーベネフィット

- Peakintelligence™を用いることで自動波形処理の精度が向上します。 - 自動前処理装置SPL-M100は1台でダイナミックHSによるにおい分析と固相誘導体化法によるメタボロミクス前処理の両方を実施することできます。 - SPL-M100では前の試料をGCで測定中に次の試料を15分で自動で完了するため実質前処理0分でハイスループットな分析を実現します。

はじめに

漢方薬は、古代中国で発展した伝統的な薬物療法です。 これらの薬品は、自然の植物や動物由来の成分を使用しており、体調を整えるために使用されます。しかし、漢方薬の課題として味が苦く飲みにくいことがあり、味を調整するために、さまざまな方法が試行されています。例えば、漢方薬を錠剤やカプセルにすることで、味を薄めて摂取することなどが一例です。しかし錠剤やカプセルにしても漢方薬独特の苦みが感じられるため、消費者の負担となっており、効果と呈味成分のバランスを考慮した製品が求められています。 これら味成分を分析する目的では、高い精度で微量の成分も網羅的に分析することが可能なガスクロマトグラフ質量分析計が用いられます。しかし、それらの成分(親水性代謝物)を抽出・誘導体化する前処理は工数がかかること、 TMS誘導体化物は経時的な安定性に欠けること(適切な補正方法を検討)、データ解析に時間がかかることなどが課題とされています。 本報では3種類の市販の漢方薬(n=5)をオンライン前処理自動装置SPL-M100(株式会社アイスティサイエンス)を搭載したガスクロマトグラフ質量分析計GCMS-TQ8040 NXで測定した例をご紹介します(図1)1)。 GCMSによる有機酸やアミノ酸など400成分以上のTMS誘導体化の一斉測定は23分で完了する一方で、SPL-M100による前処理は約15分で完了するため、前の試料をGC-MSで測定している間に自動で次の試料を前処理する分析系としました。データ解析にはAI信号処理を行うPeakintelligenceと呼ばれるAI信号処理を用いることでより精確に波形処理しました。工数削減により得られた時間を利用して、マルチオミクス解析パッケージ(Garuda)による統計解析を実施しました。考察には自社資料(社外秘情報等)を学習し、ネット情報と自社資料情報を統合して回答する独自生成AI「Chatcata」(西安スターティアソフト株式会社)を使用しました。

2024.04.23

関連製品