ライフサイエンス
ヘッドスペース-GC-MSを用いた血液中アルコールおよび揮発性毒物の同時分析
ユーザーベネフィット
- ヘッドスペース-GC-MSを用いることにより、血中アルコール測定とシアン化物やアジ化物など揮発性毒物の測定を同時に行うことが可能です。 - HS-20 NXは、サンプル流路を不活性かつ最短経路にデザインしているため、キャリーオーバーを抑制しつつ、血中アルコール測定のような高濃度のエタノール分析と揮発性毒物の微量分析を同時かつ簡便に実施することが可能です。
はじめに
警察科学捜査研究所及び大学の法医学教室では、事件、事故や犯罪などの科学捜査のため、さまざまな揮発性物質を測定します。 血液中のアルコール(エタノール)は、飲酒による交通事故、飲酒の上での暴行・傷害や急性アルコール中毒などの証明のため測定されます。トルエン、メタノールおよび酢酸エチルを主成分とするシンナーは、麻酔や興奮作用を有するものもあり、吸引による乱用が社会問題になり、乱用による弊害防止のため法規制がされています。また、シアン化物やアジ化物は産業分野で利用されており、業務に携わる人員であれば比較的入手が容易な化合物であるため、これら毒物を悪用した混入事件が大きな社会問題となりました。それ以降、犯罪や自殺などの原因の究明のため、主要な毒物の検査体制の強化が行われています。 血液中アルコールやシンナーの測定は、ヘッドスペース法を用いることにより、比較的簡単に測定することができ、科学捜査研究所や大学法医学教室では、日常的に行われています。シアン化物やアジ化物は、過去の報告においてヘッドスペース法での測定例も報告されていますが、PFB誘導体化-溶媒抽出を行い、液体注入した試料をGC-MSを用いて測定する手法が一般的に行われています。しかし、この方法では、誘導体化や抽出操作などの前処理が課題です。 本アプリケーションでは、ヘッドスペース-GC/MS法を用いて、シアン化物およびアジ化物を測定するとともに、日常的にヘッドスペースで測定されているアルコールやシンナーとの同時測定について検討した結果を紹介します。
2024.01.16