トリプル四重極質量分析計を用いた食品中アレルゲンの一斉分析法の開発

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ユーザーベネフィット

- 特定原材料7成分(小麦・そば・卵・乳・落花生・甲殻類(えび・かに))と特定原材料に準ずるものである大豆アレルゲンの一斉分析が可能です。 - 本分析法を用いることで、加工食品中の食物アレルゲンを一斉分析することが可能です。

はじめに

食物アレルギーは食品中の特定のタンパク質(アレルゲン)に対する過剰な免疫反応によって引き起こされることが知られており、公衆衛生および食品産業における喫緊の課題になっています。食物アレルギーによる健康危害を防ぐため、食品表示について各国で厳密に定めています。日本では過去の健康被害の程度・頻度を考慮し、容器包装された加工食品について、特定原材料8種(小麦・そば・卵・乳・落花生・えび・かに・くるみ)では表示義務が、特定原材料に準ずるもの20種については表示が推奨されています。 現在、ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)やPCR(Polymerase chain reaction)が検出方法として広く用いられており、これらは比較的簡便な操作によってアレルギー性食品原材料を検出することができます。その一方で、ELISAは交差反応により類似物質を擬陽性として誤検出するリスクが知られています。さらに、ELISAを用いた一斉分析は限定的であり、幅広い食品原材料を検査対象とする場合は異なる測定キットで複数回に分けて測定する必要があります。また、PCRはタンパク質ではなくDNAを検出する手法であるため、牛乳と牛肉を区別することは難しく、またDNAを含まない卵の白身を検出することも困難です。このような背景から、液体クロマトグラフ質量分析計を用いた食物アレルゲンの測定法が、高い選択性と感度、複数のアレルゲンに対する一斉分析の可能性から注目を集めています。 本稿では、超高速液体クロマトグラフNexera™X3とトリプル四重極質量分析計LCMS-8060NXを用いて加工食品中の特定原材料7成分(小麦・そば・卵・乳・落花生・甲殻類(えび・かに))と特定原材料に準ずるものである大豆アレルゲンを一斉分析する方法についてご紹介します。

2023.12.05