LC-ICP-MSによるリンゴジュース中のヒ素形態別分析

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ユーザーベネフィット

- LC-ICP-MSにより,ヒ素を形態別に分析することができます。 - 食品中のヒ素の安全性評価ができます。 - ヒ素形態別分析用のメソッドパッケージを用いることにより,分析条件などの登録は不要です。

はじめに

自然環境中には様々な物質が存在します。その中には有害な物質もあり、ヒ素はそのような物質の一つです。ヒ素は様々な形態で存在しており、形態によって毒性が異なります。一般的に亜ヒ酸はヒ酸よりも毒性が高く、有機ヒ素は無機ヒ素より毒性が低いと言われています。自然環境中にあるヒ素を完全に避けることは難しく、飲料水や農畜水産物にも取り込まれています。私たちが口にする食品にも様々なヒ素が含まれている可能性があり、ヒ素のように意図せずに食品に含まれる有害化学物質については、「生産から消費の段階で適切な措置を講じて合理的に可能な範囲で食品に含まれる量を減らすべき」1)というのが、国際的に合意された考え方です。このため、国内外で、食品中のヒ素について様々な調査・研究等の取り組みが行われています。微量のヒ素を高感度に分析する手法としてICP-MS法があります。しかしICP-MSでは、ヒ素の総濃度の測定は可能ですが、形態の判別はできません。ヒ素の総濃度を把握することも重要ですが、上記に述べたように、形態別の濃度を把握することも重要です。ヒ素の形態別分離は、液体クロマトグラフ(LC)を用いて行うことができます。このLCをICP-MSとオンラインで接続することにより(LC-ICP-MS)、ヒ素を形態別に高感度で分析することが可能です。本稿では、LC-ICP-MSを用いて、リンゴジュース中のヒ素を形態別に分析した例をご紹介します。

2023.06.29