LCMS-8050
トリプル四重極質量分析計を用いた飲料中の脂溶性ビタミンの分析
ユーザーベネフィット
- 脂溶性ビタミン13化合物の一斉分析が可能です。 - トリプル四重極質量分析計を用いて高感度に分析できます。 - α-カロテンおよびβ-カロテンの個別定量が可能です。
はじめに
ビタミンは身体の機能を正常に保つ働きを担いますが、体内でほとんど合成できないため食物から摂取する必要があります。中でも水に溶けにくい性質を持つビタミンA、D、E、Kは脂溶性ビタミンと呼ばれます。ビタミンAは主にレチノールを指します。レチノールは目や皮膚を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きを持ちます。一方、α-カロテンやβ-カロテンは体内でレチノールに変換されるためプロビタミンAと呼ばれます。これらはレチノールへ変換される効率が異なり、α-カロテンとβ-カロテンの生体利用率はそれぞれ1/24、1/12と見積もられています。ビタミンAの活性を調べるにはα-カロテンとβ-カロテンの個別定量が必要です。これらは異性体であり構造が非常に類似しているため、従来のLC-MS/MS分析では分離が困難でした。 本稿では、LC条件を検討することによりα-カロテンとβ-カロテンの個別定量を実現した脂溶性ビタミンの一斉分析について紹介します。本メソッドを用いて野菜ジュース中のα-カロテンとβ-カロテンの個別定量および添加回収試験を行いました。α-カロテンとβ-カロテンはエステル体が存在しないため、前処理のけん化処理を省略することが可能です。簡便な抽出操作で良好な回収率を得ることができました。
2023.08.01