
バイオマス
バイオマス資源のエネルギーや化学品原料への変換技術の研究において、変換収率の改善や反応プロセスの解析が欠かせません。このような解析においては、揮発性成分の同定が重要であり、定性能力に優れたGC-MSが有用です。ここでは、リグニンモデル化合物を水溶液中で固体酸触媒を用いて分解させた反応液を前処理せずにGC-MSで直接分析した例をご紹介します。木質系のバイオマスにおいて、リグニンはその20~30%を構成する物質ですが、強固な高分子構造をとり、反応性にとぼしく、分解が困難な物質です。しかし、その分解物であるアニソール、フェノール、グアイアコールなどは、有用な物質 であるため、高い変換収率が得られる分解方法の研究が進められています。今回の触媒分解反応では、リグニンモデル化合物からグアイアコールが主として生成することを確認することができました。 また、真空排気に差動排気方式を採用したGCMS-QP2010Ultraを用いることによって、水溶液試料をGC-MSに直接注入しても良好な結果が得られました。
2013.11.18