
電気・電子
KBr 錠剤法は主に固体試料を測定するための手法です。この手法はハロゲン化アルカリが可塑性を持ち、圧力を受けると透明な板になるという性質を利用しています。錠剤成形に用いられるハロゲン化アルカリとしては臭化カリウム(KBr)が最も一般的ですが、塩化カリウム(KCl)やヨウ化セシウム(CsI)が用いられることもあります。従来この手法では、KBr と測定試料をメノウ製乳鉢でそれぞれ粉砕した後、適切な濃度になるよう混合して加圧し錠剤成形を行っていました。しかしながら、粉砕した KBr は結晶状態と比較して吸湿しやすく、また乳鉢からのコンタミの恐れもありました。さらに加圧成形は分析者の負担になる作業であり、濃度調整にも時間を要していました。 本稿でご紹介する KBr Cuttings を使用すると、面倒であった KBr をすり潰す手間やメノウ製乳鉢を用いた試料との混合作業は不要です。KBr Cuttings は KBr の結晶をカットしたプレートです。2 枚の KBr プレートの間に測定したい試料を挟んで錠剤成形器にセットして加圧するだけで、良好な KBrディスクが作製できます。 ここでは、KBr Cuttings を用いた錠剤成形の手順および医薬品の確認試験を行った分析例をご紹介します。
2017.03.16