超音波疲労試験機を使用した金属材料の介在物検出

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はじめに

一般に、構造用の金属の多くは繰り返し回数が 106回までは疲労強度が低下するものの、107 回以降は疲労限が現れ、疲労破壊しないことが知られています。しかし、焼入れや表面処理を施した高強度の金属材料では、内部の介在物が疲労破壊の起点となり、108~109回でも疲労破壊が起こることがわかってきました。内部から破壊する場合、疲労強度は内部の介在物の寸法や種類に依存するといわれています。そのため、高強度の金属材料の疲労強度を評価するためには、金属材料中の介在物の寸法と種類を把握することが重要であるといわれています。介在物を検出する手法としては試料を鏡面に磨き観察する方法等がありますが、観察した介在物から疲労破壊が進むのかわからないといった問題もあります。そのため、内部破壊の原因となる介在物を確実に検出するためには、実際に疲労試験を行うことが最良の手段となります 1)。しかし、109 回を超える疲労試験を行った場合、10 Hz で約3.2 年が必要になります。今回使用した超音波疲労試験機は20 kHz での試験が可能であり、109 回の試験を約 14 時間で終わらせることが可能になります。つまり、実際に疲労試験を行い、介在物を検出する場合、超音波疲労試験機は非常に有効な手段となります。 今回は、超音波疲労試験機USF-2000Aを使用してSNCM439 の介在物検出を行い、電子線マイクロアナライザEPMA を使用して、介在物の観察と元素の特定をしました。

2021.04.27

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