無機系抗菌剤の分析

はじめに

昨今、清潔指向の高まりに伴い、日用品や家電製品や繊維などの加工製品だけでなく、化粧品や医薬部外品の添加物などにも抗菌処理が施されるようになってきています。無機系抗菌剤には、抗菌イオン（抗菌力：Ag+イオン ≫ Cu2+イオン、Zn2+イオン）などの薬剤をゼオライトやリン酸塩化合物やケイ酸塩化合物など様々な担体の表面や層状構造などを用いて固定させたものと、酸化チタン（TiO₂）の光触媒反応を用いたものがあります。リン酸塩化合物には層状構造やガラス構造など多種多様な結晶構造を持つものが存在し、リン酸塩系抗菌剤は、Ag+イオン、Zn2+イオンまたは Cu2＋イオンなどの抗菌イオンをこれらの構造に担持しています。生体親和性が良好なハイドロキシアパタイトのような無機リン酸塩も存在し、それを用いた抗菌剤も多く商品化されています。 今回、電子線マイクロアナライザ EPMA™（EPMA-8050G）を使用した抗菌ジェルと抗菌フィルターの分析例をご紹介します。

2020.09.03