孤立分散型セルロースナノファイバーの繊維長と分散性の評価

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はじめに

セルロースは、植物細胞壁の主成分である多糖類です。セルロースをナノメートルサイズまで解繊したナノセルロースの中で、繊維径が 4〜100 nm、繊維⻑が数μm 程度、高アスペクト比(100 以上)のものがセルロースナノファイバー(Cellulose Nanofiber : CNF)と呼ばれ、最先端のバイオマス新素材として注目されています。 CNF は、軽量で高強度であることに加え、高いガスバリア性や吸着性、透明性などの優れた機能を持ちます。また、植物繊維由来であることから生産や廃棄に関する環境負荷が小さい素材です。今後は、自動車部材、電子材料、包装材料等への応用が期待されています。CNF の基礎物性の評価方法が未確立であることは、現在の課題のひとつです。なかでも基礎的な計測として、CNF の繊維⻑や繊維径は、CNF 複合材料の機械的強度等にも影響することが考えられ、その計測手法の確立が求められています。Application News No. S301)では、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope : SPM)を用いた繊維⻑・繊維径の計測手法を紹介しました。 今回は、SPM に加えて、粒子径測定装置と紫外可視分光光度計の活用を検討しました。 粒子径測定装置は、品質管理用途等で迅速に多量の繊維を評価する手法として、紫外可視分光光度計は、マトリックス(⺟材)中における CNF の分散性向上のため、繊維⻑と分散性の相関を評価する目的です。 以下、シングルナノ粒子径測定装置 IG-1000 Plus、および走査型プローブ顕微鏡 SPM-9700HTTM(以下、SPM-9700HT)による繊維⻑の評価と、紫外可視分光光度計 UV-2600 による分散性の評価を紹介します。

2021.01.18

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