
KRATOS ULTRA2 (英国名AXIS Supra+)
- Arイオンによる深さ方向分析では困難である、サブnm~数nmの厚みで積層された多層薄膜試料の層構造解析が可能です。 - 非破壊で試料本来の状態の膜構造を解析することができます。
X線光電子分光法(XPS)は、試料最表面の元素定性、定量、および化学結合状態の解析を行う表面分析手法の一つであり、分析深さは表面から約10 nmです。 近年では電子機器の小型化、高性能化に伴い、サブnm~数nmの薄膜を成膜した半導体など、多層薄膜試料のXPS分析のニーズが増加しています。また、これらの材料の諸特性は薄膜の膜厚、層構造に依存するため、層構造を解析することへの需要も多く見受けられます。このような試料を分析するには、角度分解XPS(ARXPS)を用います。ARXPSは通常のXPSよりさらに表面近傍の分析が可能です。しかし、深さ方向の元素濃度分布を大まかに導出することはできるものの、ARXPSだけで詳細な層構造解析を行うことは困難です。ARXPSの結果から層構造解析を行うには最大エントロピー法(MEM) を用いた解析が有効です。これにより深さ方向プロファイルを作成し、非破壊で表面から数nmの領域における層構造解析を行うことができます。本報告ではARXPSとMEMにより、多層薄膜試料の層構造解析を行った事例を紹介します。
2022.02.19
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