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ユーザーベネフィット

- CFRPの設計に必要な層間強度を測定することができます。 - 亀裂進展の様子をTRViewXで録画することにより,試験後でも亀裂長さの観察が可能です。

はじめに

強度や耐久性が要求される航空機材料等を中心に、従来材料よりも比強度・比剛性が高く、錆びることのない炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の適用が検討されています。しかし、CFRP積層材において優れた力学特性を示すのは、強化された方向(繊維方向)に限り、強化されていない方向(層間方向等)の強度は著しく低いことが知られています。また、CFRP積層材は衝撃に弱く、衝撃負荷を受けると材料内部に層間剥離等の損傷を生じます。そのため、設計や製品開発において、材料内部の損傷が強度に及ぼす影響を考慮する損傷許容設計が取り入れられています。損傷許容設計を行うためには、層間の亀裂伝播の抵抗を明らかにする必要があり、破壊じん性試験が行われています。均質等方性材料では、一般的に破壊じん性試験としてモードⅠ(開口型)のみを行っていますが、樹脂マトリクスと繊維から成る複合材料は異方性を示すため、モードⅠだけでなくモードⅡ(面内せん断型)、モードⅢ(面外せん断型)のように様々なモードでの評価も重要となってきます。DCB試験(Double Cantilever beam Test)は純粋なモードⅠの特性を評価する試験です。均質等方性材料ではじん性の評価として、応力拡大係数Kを用いることが多いですが、異方性材料である複合材料においての層間破壊では応力拡大係数Kの2乗に比例したひずみエネルギー解放率Gで評価することが一般的です。本稿ではASTMD5528に準拠したDCB試験を行い、モードⅠの層間破壊靭性GIcを求めました。

2022.01.15