PCRダイレクトシーケンスにおけるMultiNAの有用性

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はじめに

PCRダイレクトシークエンスは,PCR反応後の増幅産物をクローニングを行うことなく,直接鋳型として塩基配列を決定する方法です。この方法はクローニングベクターにPCR産物をクローニングする手間がないこと,クローニング後の塩基取込間違いによる影響が低いことなどから,早期に塩基配列情報を得るために非常に有効な手段です。 しかしながら,PCR後の増幅状況によりその結果が大きく左右されます。その成功率を高めるためにはシーケンス反応前にPCR産物の純度(質と量)を確認しておく必要があります。その確認には従来アガロースゲル電気泳動法が多く用いられてきました。 しかしながら,一見,目的PCR産物が単一であると確認できているにもかかわらずシーケンス分析では複数のサンプルが混在したようなシーケンスデータだったということがあります。その原因の一つとして考えられているのがアガロースゲル電気泳動の感度の限界です。この方法では微量に含まれているPCRの副反応物の存在を明らかにすることが困難です。 ここでは,岡山県農林水産総合センター生物科学研究所にてアブラナ科植物のハウスキーピング遺伝子探索の際に行ったPCRダイレクトシーケンスにおけるPCR産物の純度検定をご紹介いたします。

2011.07.24