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はじめに

遺伝子組み換え実験においては、さまざまなプラスミドが用いられています。近年ではその利便性の良さからバイオリソースの保存や分配にも利用されています。プラスミドの純度やサイズを測定する場合には、従来、アガロースゲル電気泳動法が用いられています。プラスミドは同じ配列でも立体構造が異なる状態で存在することがあり、これは電気泳動の際に分子篩を通過するときの移動度に影響します。立体構造が異なる状態とはスーパーコイル(super coil)、オープンサーキュラー(open circular)、リニア(linear)の三形態で。スーパーコイルは二本鎖 DNA に切れ目が無い状態で、輪ゴムがきつくよじれたような状態です。オープンサーキュラーは、二本鎖 DNA のどちらか一方の鎖に切れ目(ニック)が入って、よじれがほどけた円の状態です。リニアは、二本鎖 DNA のどこかの部分の 2 本の鎖が完全に切れて、直鎖になった状態です。これらの三形態はそれぞれ“みかけ”のサイズが異なります。そのため、同じサイズのプラスミドをアガロースゲル電気泳動した場合、検出されるサイズは三形態で異なる場合があります。 現在では従来のアガロースゲル電気泳動に代わる手法としてマイクロチップを使用する電気泳動装置が普及してきました。中でも当社のマイクロチップ電気泳動装置 MCE-202MultiNA はアガロースゲル電気泳動の作業過程をすべて自動で行える装置です。 ここでは 3 種類のプラスミドの分析をマイクロチップ電気泳動装置 MultiNA で分析した場合とアガロースゲル電気泳動で分析した場合の実例について紹介いたします。

2021.06.21