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はじめに

高極性農薬は、化合物の特性から、通常の一斉分析法では十分な保持あるいは良好な分離を達成することが困難なため、LC/MS/MS による測定では、いくつかの個別分析法が用いられています。これに対して、EU リファレンスラボラトリーのひとつであり、個別分析法開発を担当している EURLSRM(シュツットガルト、ドイツ)は、QuEChERS 法による前処理と通常の一斉分析法では対応が困難な高極性農薬のための一斉分析法 “QuPPe(Quick Polar Pesticides)法” を開発しています。なお、本法では、サンプル・目的化合物に合わせた複数のメソッドを提案しています(M. Anastassiadeset al; QuPPe of EURL-SRM (Version 9.1; 2016))。 また、LC/MS/MS を用いた高極性農薬の分析には、これまでHILIC モード・ミックスモード・順相モード・逆相モードとさまざまな分離手法が使用されてきましたが、いずれの方法においても、一斉に測定できる化合物には限界があり、課題が残されているのが現状です。これに対して、SFC(超臨界流体クロマトグラフィー、Supercritical Fluid Chromatography)は、移動相の性質から、幅広い化合物を一斉に分離することができるという利点があります。また、LC と同じ分離モードのカラムを使用した際にも異なる分離挙動を示すことから、LC では保持や分離が困難な化合物の測定に有効な場合があります。今回、SFC を用いた高極性農薬の一斉分析例をご紹介します。

2017.08.29

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