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はじめに

かび毒(マイコトキシン)は,その毒性により,食品や飼料における重要な汚染物の一つです 1)。マイコトキシンは,それら化学構造から,広い物理化学的性質を持った低分子物質の一群として扱われます 2)。マイコトキシンは,一般的に農産物に寄生,付着する菌類により産生されますが,目視では見つけることができません 3)。多くは,小麦,大麦,エン麦,ライ麦,とうもろこし,米,豆などの穀類および,牛乳において汚染が問題となっています。 食品中における,かび毒はその強い毒性のため,日本,欧米,中国を含めた世界各地で規制対象となっています 5)。特に EUでは,規制値やサンプリング方法,分析方法などが,EU 規制(EC 1886/2006(修正版:EC 1126/2007) ,EC 401/2006)により定められています。 複雑なマトリックスからなる食品や飼料中の,低濃度対象成分を検出する必要が有るため,かび毒の分析には,LC/MS/MS が最も広く用いられる分析手法となっています。 マイコトキシンの,広い物理的または化学的性質から,これまで幾つかの対象成分のグループに対して,個別の LC/MS/MS が用いられていました。 本アプリケーションニュースでは,単独の LC/MS/MS による分析手法を,食の安全という観点で規制される 18 成分に適応した事例を紹介します。 検討により得られた検出下限は, EU 規制として EC/1886/2006により示された許容値か,それ以下であることが確認されました。 本法の対象成分は,アフラトキシン(B1,B2,G1,G2),フモニシン(B1,B2,B3),オクラトキシン A(OTA),およびトリコセテン類(3- アセチルデオキシニバレノール(3AcDON),15- アセチルデオキシニバレノール(15AcDON),デオキシニバレノール(DON), ジアセトキシスシルペノール(DAS),フザレノン -X(FUS X),HT-2,ネオソラニノール(NEO), ニバレノール(NIV),T2,ゼアラレノン(ZON))の 18 成分であり,これらの分析に要する時間は約 12.5 分間となりました。

2016.10.28

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