LCMS-8050
トリプル四重極型LC/MS/MS を用いたハロ酢酸類の分析
はじめに
ハロ酢酸類は浄水処理における塩素処理によって生成する消毒副生物です。モノクロロ酢酸(MCAA),ジクロロ酢酸(DCAA),トリクロロ酢酸(TCAA)の3 成分に関しては,厚生労働省の水道水質基準においてそれぞれ基準値(MCAA:0.02 mg/L, DCAA:0.04 mg/L, TCAA:0.2 mg/L) が定められています。これらハロ酢酸3 成分の試験法(告示法)としては,溶媒抽出後にジアゾメタンを用いて誘導体化しGC/MS により測定する手法が提示されています。 平成24 年4 月1 日より,ハロ酢酸類の追加試験法としてLC/MS( /MS)を用いた試験法が加わりました(平成 24 年厚生労働省告示第66 号:水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法の一部を改正する件)。このLC/MS 法はGC/MS 法で必要であった溶媒抽出操作および誘導体化操作を省略して水試料中のハロ酢酸類を直接分析するというものであり,分析作業の効率化が期待されています。本アプリケーションニュースではこのLC/MS の試験法に則り,トリプル四重極型質量分析計LCMS-8050 を用いたハロ酢酸3 成分の分析例をご紹介します。 本分析条件では,ESI 脱プロトン化分子をプリカーサーイオンに用いて,MCAA が3.1 分にDCAA が3.4 分に,TCAA が5.2 分にそれぞれ溶出し,時間短縮を実現しました。Fig. 1 に0.001 mg/L におけるMRM クロマトグラムを示しました。各成分の0.001 – 0.1 mg/L における検量線直線性および0.001 mg/L におけるピーク面積値再現性(n = 5) をFig. 2 に示しました。いずれの成分でも基準値の1/10 以下である0.001 mg/L において面積値再現性(%RSD)は3 % 以下でした。
2021.03.28
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