サンプルバイアルへのイオンペア試薬添加による食品中グリホサート・グルホシネート・AMPA の新しい定量分析法

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はじめに

グリホサートとグルホシネートは除草剤として穀物や野菜作物に広く使用されている農薬です。グリホサートは、植物の機能、特に光合成に不可欠なアミノ酸前駆体の生合成系を阻害します。 2015 年に世界保健機構(WHO)は、グリホサートを人に対して発がん性の疑いのある物質に分類すると報告しました。 グリホサート、グルホシネートおよびグリホサートの代謝物である AMPA は、いずれも高極性の化合物であるため、環境中や食品中でのモニタリングは容易ではありません。現在FMOC のような誘導体化法による分析も行われていますが、誘導体化の工程が煩雑です。そのため誘導体化せずに、陽イオン交換や親水性相互作用クロマトグラフィ(HILIC)、多孔性グラファイトカーボン、ミックスモードのカラムを用いて、食品中のグリホサートや高極性農薬を LC/MS/MS で直接分析する方法も多く報告されています。しかし、いずれの方法にも課題が残されています。 本報では、サンプルバイアルへのイオンペア試薬添加により、逆相条件での分離と定量を可能にする新しい分析法について検証を行いました。 従来のイオンペア法では、移動相に高濃度のイオンペア試薬を添加するため、イオン化競合や LC/MS/MS システムの汚染による感度低下が見られたり、装置メンテナンス頻度が増えることがあります。 今回紹介する新しい分析方法では、イオンペア試薬は使用しますが、試料バイアルにのみ添加するため、イオンペア試薬の負荷量は少量に抑えられます。イオンペア試薬を効果的に利用し、逆相条件でグリホサート、グルホシネート、AMPAを直接分析した例をご紹介します。

2021.01.11

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