Fab選択的タンパク質分解法nSMOL法を用いた抗体医薬のLCMS™バイオアナリシス-7 ‒ トシリズマブの分析事例 ‒

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はじめに

トシリズマブは日本で開発されたヒト化抗ヒトインターロイキン 6(IL-6)レセプターモノクローナル抗体です。その作用機序は「IL-6 レセプターと結合することによる IL-6 を介するシグナル伝達の遮断」とされています。IL-6 は 1980年代に発見され、その後の研究で炎症反応や免疫反応などに関与し、様々な生理活性があることが示されています。関節リウマチ・キャッスルマン病・若年性特発性関節炎などの自己免疫性炎症性疾患では、IL-6 が体内で異常生産されていることが明らかとなっており、これによって過剰な免疫反応が引き起こされ症状を呈します。トシリズマブの投与はこの異常生産された IL-6 による炎症誘導を遮断・抑制することで、今まで難病とされてきた疾患の症状をコントロールできるようになりました。また IL-6 が病態に関与する他の疾患に対してトシリズマブは高い治療効果をもたらす可能性があり、昨今社会問題となっているコロナウイルス重篤肺炎等、急性炎症に対する治療が期待されています。

2020.09.03

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