Nexera™シリーズ
多様な有機酸分析手法とその分析アプリケーション
はじめに
有機酸は酒類や発酵食品の風味の成分、医薬品のカウンターイオンの対象成分や廃水中の悪臭成分として古くから分析されてきました。近年、脱化石燃料による持続可能な社会の実現を目指した政策が増えている中で、バイオエタノールの効率的な製造プロセスや人工光合成といった新しいエネルギーの技術に関連した研究が活発化しています。これらの技術によって産生される有機酸はこれらの技術の効率化を向上させるため、モニタリングが必要になります。また、これまで化石燃料がプラスチック製品やフィルム製品の原材料として使用されていましたが、バイオマスの発酵過程から産出されるコハク酸やプロピオン酸といった有機酸を中間体として高分子製品の原材料に置き換えようとする試みも増えてきています。その他、機能性成分として短鎖脂肪酸を産出する腸内細菌の研究や、有機酸をはじめとした一次代謝物の解析により付加価値の高い食品および飲料の製品開発など、有機酸のモニターが必要となる場面は多岐に渡ります。 有機酸の分析は、古くから分離分析が用いられてきましたが、それぞれの分析手法に特徴があります。例えば、GC、GC/MS については、通常、液体試料を気化室で気化しカラムに導入しますが、そのほかにバイアルに封入された試料の気相部分(ヘッドスペース)のみをカラムに導入する手法などがあります。また、HPLC については、分離モードと検出法の組合せにより、多様な分析手法があります。近年では質量分析装置との組み合わせにより、有機酸とその他の成分との一⻫分析が可能になりました。この記事では、分離分析をつかった有機酸分析手法の紹介と分野別でのアプリケーションをご紹介します。
2020.07.29
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