塩基性化合物の分析におけるピーク形状の改善とマルチリンスによるキャリーオーバーの低減

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はじめに

季節性インフルエンザの流行に対しては、こまめに手指の消毒を行うことが有効とされています。こうした手指消毒剤の多くはエタノールが主成分ですが、中には殺菌作用を有する成分を配合しているものもあります。市販消毒剤に含まれる有効成分にはクロルヘキシジンやベンゼトニウムなどがあり、これら 2 成分はいずれも塩基性の強い化合物です。 一般的な ODS カラムで塩基性化合物を分析すると、充てん剤表面の残存シラノールとの非特異的な相互作用により、テーリングなどピーク形状の悪化が確認される場合があります。Shim-pack Arata™ C18 はシラノールとの相互作用を抑制するように設計され、塩基性化合物を分析する際に、単純な移動相を用いても良好なピーク形状が得られることが期待できます。 また、クロルヘキシジンはオートサンプラーの接液部に非常に吸着しやすい化合物であることが知られています。そのため、特に高濃度の試料を分析した後、キャリーオーバーとして次の分析に影響を与えることがあります。Nexera™ X3システムはマルチリンス機能を標準装備しており、キャリーオーバーが発生しやすい注入ポートを自動的に洗浄することで、キャリーオーバーを低減させることが可能です。 本稿では、Nexera X3 と Shim-pack Arata C18を用いた塩基性化合物の分析例と、マルチリンス機能によるキャリーオーバーの低減例をご紹介します

2020.05.12