高速液体クロマトグラフィーによる抗体医薬品の分析事例

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ユーザーベネフィット

- 抗体医薬品と充填剤間の相互作用を低減することで再現性の高いデータ採取ができます。 - 高濃度の塩を含む移動相を用いた分析においても安定したデータ採取が可能です。

はじめに

近年、ゲノム編集や細胞融合などのバイオテクノロジーを利用して開発・製造されたバイオ医薬品は、難病を含む様々な疾患に対して治療効果が期待できることから、世界中でその利用が広がっています。バイオ医薬品の中心とも言えるモノクローナル抗体(mAb)や抗体薬物複合体(ADC)といった抗体医薬品は、標的分子に対する特異性と親和性を持つことから、高い治療効果と副作用の軽減などの利点が知られています。しかし、動物細胞を利用して製造されることから、化学合成を基に製造する低分子医薬品とは異なり、構造上の不均一性を防ぐことは困難です。そのため、各工程で適切な品質管理を行う必要があります。例えば、製造工程においては、目的物質由来の不純物を分離し、含有率を明らかにすることが生物薬品の規格及び試験方法であるICH-Q6B1),2)に定められており、その多くは液体クロマトグラフィーを用いて実施されます。 本稿では、高濃度の塩を含む移動相に対する耐久性に優れたイナートUHPLCシステム“Nexera XS inert”を用いた、mAbおよびADCの品質管理を目的とした分析事例をご紹介します。また、抗体の種類により、不純物の種類や量が異なるため、各試料について分析条件を最適化することは重要です。本稿では、最適化テクニックも併せてご紹介しますのでご参考ください。 表1には、抗体医薬品分析で広く用いられているTSKgel®シリーズ(東ソー株式会社)を項目・目的・分析手法別に示しており、本稿の分析は、表1中のカラムを使用しました。

2022.02.19

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