Nexera-e およびトリプル四重極型LC/MS/MS を用いたグリセロリン脂質の分析

はじめに

グリセロリン脂質（GPLs）はグリセリン骨格をもったリン脂質で，生体の細胞膜の重要な構成要素です。それらは細胞の外側の環境に対して細胞を保護する効果以外にも，細胞内外の物質移動や神経情報の伝達など，細胞の生物学的な活動に深くかかわっています。したがって，GPLsの分析はメタボロミクスの分野において重要な意味を持ちます。一方で，逆相HPLCによる分離とESI-MS/MSによる検出の組み合わせはリピドミクスでは有効な手段ではありますが，未だ改善の余地があります。この手法の欠点は共存成分による相互のマトリックス効果の影響により，定量性が失われることです。このため，信頼性の高い分析結果を得るためには，HPLCによる分離が重要です。包括的2次元（Comprehensive2D）クロマトグラフNexera-eによれば，GPLsの高分離が可能となります。

2021.03.28