低分子医薬品
FAB/MSによるアシルカルニチンの分析
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はじめに
尿中のアシルカルニチン・プロファイルを検討することは,プロピオン酸血症,メチルマロン酸血症などの先天性代謝異常性による有機酸尿症およびReye症候群,サリチル酸中毒などの2次性有機酸尿症の病態を解明することにつながります。 尿中アシルカルニチン類の分析法はアルカリ加水分解でアシル基から生じる有機酸を分析する方法や,HPLCにてカルボン酸分析計で測定する方法がありますが,いずれも測定上十分な感度を得るにはなんらかの前処理を必要とします。また,アシルカルニチンのアシル基には,モノカルボン酸,ジカルボン酸などがあり,短鎖,長鎖等で化学的性質は各々異なっています。 今回紹介します方法は,尿中アシルカルニチン類をメチルエステル誘導体とし, FastAtomBombardment(FAB)法により分析する方法です。前処理がほとんど不要で,すべてのアシルカルニチン類を短時間のうちに分析することが可能です。
2021.03.28