熱分解-GC-MSを使用した食品包装フィルムの差異解析

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ユーザーベネフィット

- 熱分解-GC/MS法では,残存モノマーや添加剤などの揮発成分の情報が得られます。 - AnalyzerPro XDは、デコンボリューションから多変量解析までを1つのソフトウェアで完結することができます。 - 多変量解析は製品開発に加え、品質管理やサイレントチェンジ判別に有用な手法です。

はじめに

フィルムや容器といった日用品から、電子部品にいたるまで幅広い用途に使用されるプラスチックには、100種類を超える素材が存在します。その一方で、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、Pポリ塩化ビニル(PVC)といった汎用プラスチックが、プラスチック全生産量の6割以上を占めており、使用される樹脂素材はある程度限定されます。しかしながら、同一の樹脂素材であっても、使用される添加剤や原料・成型によって差があります。 プラスチック分析は、化学分野では、開発品の評価、工場エラー品の解析、サイレントチェンジ対策などが目的となります。食品分野では、生産過程や包装材由来の混入物の材質鑑定を目的とします。そのため、近年では、基準となる製品との比較により、原因探索を行いたいというニーズが高まっています。 分析装置では、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)や熱分解-GC-MS(Py-GC-MS)が一般的に使用されます。前者は、非破壊的に母材の情報を得ることが強みです。後者はサンプルの一部を熱分解するため、破壊的(不可逆的)手法ではありますが、母材に加えて使用された添加剤を含む詳細な分析が可能です。 本稿では、ポリプロピレン素材の包装フィルム5種類をPy-GC-MSにて分析した結果を紹介します。Py-GC-MSでは多数のピークが出現することから 、ピーク抽出にはAnalyzerProXDを用いてデコンボリューションを行いました。 また、各包装フィルムの類似性や差異をAnalyzerProXDにて多変量解析を行った結果をご紹介します。

2022.06.23