ダウンロード

はじめに

農作物の産地偽装は農業・食品業界における普遍的な課題であり、今日まで産地判別のためのさまざまな手法が開発されてきました。一般的に、遺伝情報など農作物が先天的に持つ生体情報をもとに判別を行うことは難しいため、後天的に農作物の体内に発生する物質の情報が用いられます。中でも農作物が体外から取り入れる元素の情報をもとに判別を行う手法は安定性に優れ、長年研究されてきました。 一方で、農作物体内に後天的に発生する物質の中には、体外から取り入れられる物質のほかに、アミノ酸、有機酸、脂肪酸、糖など、体内で産生される物質があります。これらは総称して代謝物と呼ばれ、多くの農作物に共通して含まれており、その存在濃度は、同じ品種の農作物でも周囲の環境に合わせてダイナミックに変化すると考えられます。このような農作物内の代謝物を網羅的に測定することで、特定の農作物品種における各産地の代謝物の存在比パターンを見出すことができれば、農作物の産地判別に利用できる可能性が考えられます。 本稿では、親水性の代謝物377成分を同時測定できるSmart Metabolites Database を用いて、国産および外国産のアスパラガス計106サンプル中の代謝物を測定し、国産と外国産を判別するモデルを作成し、約90%の精度で判別できることを確認しました。

2019.10.23

関連製品

一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。

関連分野