FAST-GC/MS を用いた分析について―スキャン速度の影響―

はじめに

分析ラボでは，より多くのサンプルを，より安いコストで分析し，生産性を高めることが重視されています。特に，クロマトグラフィー分析では，分析時間を短縮化することによって生産性を高めることが検討されています。この要請を実現するものとしてFast-GC/MSが注目されています。Fast-GC/MSは，内径の細い，短いカラムを使うことで高分離を実現し，しかも，分離を犠牲にすることなく分析時間の短縮化をはかることができます。 Fast-GC/MSが可能になったのは，GC/MSの基本性能が改良されたことと，分析カラムの性能が向上したことによります。装置の改良点としては，（1）急速加熱および冷却可能なカラムオーブン（2）高いカラムヘッド圧力設定とその制御が可能なキャリヤガス流量制御ユニット（3）高速スキャンが可能な質量分析計（MS）が上げられます。また，内径が細いカラムを使用するためサンプル負荷容量が少なくなりその分MS側の感度アップが重要になります。 本アプリケーションニュースでは，Fast-GC/MSにとって質量分析計の高速スキャンの機能がいかに重要であるかを解説します。

2008.04.22