イオンクロマトグラフの標準試料の調製方法
標準試料の調製は分析結果の正確さに大きく影響を与えます。実際に定量する未知試料の濃度に合わせた濃度領域の標準試料を調製する必要があります。標準試料を分析し,得られたピーク面積値や高さから検量線を作成し,未知試料のそれと比較するすることで定量します。未知試料を分析してえ得られたピーク面積値や高さの値を,上下に挟み込むように2点の以上の標準試料を調製・分析して検量線を作成することで,より正確な定量結果が得られます。
標準試料の調製は,高純度の試薬を超純水で溶解・希釈して調製します。詳しくは,各種告示やJIS K0127をご覧ください。代表的な無機陰,陽イオンについては,濃度1000 mg/Lの標準液が市販されおり,その一部には国家計量標準へトレーサブルなJCSS認定の標準試料もあります。
下表に代表的なイオン種について,1000 mg/Lの標準試料原液を1 L調製する際に量りとる重量の例を紹介します。全量1 Lのメスフラスコに秤量した試薬を入れて溶解後,定容してください。
※公定法等に従って分析する際は,その指示に従って調製を行なってください。
※下の表は「JIS K0127 イオンクロマトグラフ分析通則」を参考にしています。
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陰イオン種 使用する化合物名 重量 (g) F ふっ化ナトリウム 2.210 Cl 塩化ナトリウム 1.648 Br 臭化カリウム 1.489 I よう化カリウム 1.308 CN シアン化カリウム 2.503* CO3 炭酸ナトリウム 1.766 NO2 亜硝酸ナトリウム 1.500 NO3 硝酸カリウム 1.631 PO4 りん酸二水素カリウム 1.433 SO4 硫酸ナトリウム 1.479 ClO3 塩素酸ナトリウム 1.277* ClO2 亜塩素酸ナトリウム 1.341* BrO3 臭素酸カリウム 1.306 SCN チオシアン酸カリウム 1.673 HCOO ぎ酸ナトリウム 1.511 CH3COO 酢酸ナトリウム 1.389 (COO-)2 しゅう酸ナトリウム 1.522 (CH2COO-)2 こはく酸 1.017 -
陰イオン種 使用する化合物名 重量 (g) Li 塩化リチウム 6.107 Na 塩化ナトリウム 2.542 K 塩化カリウム 1.907 NH4 塩化アンモニウム 2.965 Mg 塩化マグネシウム・六水和物 8.363 Ca 炭酸カルシウム 2.497 CH3NH3 塩化メチル
アンモニウム2.174 (CH3)2NH2 塩化ジメチル
アンモニウム1.809 (CH3)3NH 塩化トリメチル
アンモニウム1.617 CH3CH2NH3 塩化エチル
アンモニウム1.809 (CH3CH2)2NH2 塩化ジエチル
アンモニウム1.499 (CH3CH2)3NH 塩化トリエチル
アンモニウム1.359 * 正確には、滴定による濃度の値付けが必要です。