TOC-Lシリーズ(燃焼触媒酸化方式) - 特長
全有機体炭素計
680℃燃焼触媒酸化方式の測定原理
680℃燃焼触媒酸化方式は,島津が開発を行い,世界に広めた試料燃焼方式です。 その最大の特長の一つは,不溶解性有機体や高分子状有機体などを含んだ難分解性有機体炭素を高効率に酸化できる酸化力です。
なお,680℃燃焼触媒酸化方式は,TOC-Lシリーズで採用されています。
TOC(全有機炭素)の測定
680℃燃焼触媒酸化方式は,白金触媒が充填されたTC燃焼管内で,潤沢な酸素存在下,680℃で加熱を行うことにより,試料の完全燃焼を実現しています。 加熱・燃焼による酸化というシンプルな酸化原理を用いているので,酸化剤の使用に伴う前処理・後処理作業などが必要なく,操作性に優れています。
酸化により発生した二酸化炭素は,赤外線ガス分析部(NDIR)にて検出されます。TOC-Lシリーズは,新設計の高感度NDIRを採用することにより,燃焼触媒酸化方式としては最高の検出限界4 μg/Lという高い検出感度を実現しています。
下図は,680℃燃焼触媒酸化方式とNDIR方式によるTOCの測定を模式化したものです。

TOC測定(差し引き法)模式図
試料は,精製空気で満たされた燃焼炉へ運ばれ,白金触媒と共に680℃まで加熱されることにより燃焼,分解し,二酸化炭素に変換されます。 変換された二酸化炭素は冷却,除湿され,NDIRにて検出されます。 検量線式と比較することで,試料中のTC(全炭素)濃度を求めます。1)
さらに,酸性化した試料に通気処理をすることで,試料中のIC(無機炭素)を二酸化炭素に変換し,それをNDIRにより検出することでIC濃度を求めます。2)
求めたTC濃度からIC濃度を差し引くことで,TOC濃度を算出します。3)
NPOC(不揮発性有機炭素)の測定
環境水のようにTCに占めるICの量が極端に多い場合,上記の方法によりTOCの測定を行うと誤差が大きくなる可能性があります。 そこで通常は下図に示すようなNPOCの測定により,試料中の有機炭素を計測します。
なお,この方法はTOC測定の公的測定法(JISやASTM)などに記載されている酸性化・通気処理法(IC除去)によるTOC測定法と同じものです。

TOC測定(差し引き法)模式図
酸を少量加えた試料を通気処理することにより,試料中のICが二酸化炭素に変換されます。 これらICによる二酸化炭素を除去し,処理された試料をTC測定することによりTOCを測定します。 ICによる二酸化炭素を除去する際,POC(揮発性有機炭素)も同時に失われる可能性があるため,この方法で得られたTOCをNPOCと呼ぶことができます。
なお,島津では,通常失われるこれらPOCを測定し,より完全なTOCを測定することができるオプションもご用意しています。
豊富な機能を備えたTOC制御ソフトウェア
優れた操作性,豊富な機能を備え,ユーザ管理や操作履歴などお客様の安全なデータ管理をサポートします。