RF-6000 - アプリケーション
分光蛍光光度計
化学 / 電気・電子
固体半導体材料の発光効率評価
スペクトラロン製100 mmøの積分球ユニットを使って,有機ELデバイスの発光層に使われる固体半導体材料(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)の蛍光量子効率を測定しました。
LabSolutions RFソフトウェアの「量子効率測定」アプリケーションを使うと,直感的な操作で蛍光量子効率を簡単に求めることができます。
化学
溶液試料の蛍光量子効率測定
積分球ユニットを使って,フィルム状試料,粉末試料のほかに,10 mmキュベットセルも固定できますので液体試料の測定も可能です。
ここでは,硫酸キニーネの1N硫酸水溶液(NIST SRM936aを基材)の蛍光量子効率測定を行いました。
厄介な量子効率計算も,LabSolutions RFの量子効率測定機能を使えば,簡単に蛍光量子効率を求めることができます。
長波長測定
人工光合成の研究に役立つ光合成タンパク質の機能解析に活用できます。
ここでは,チラコイド膜溶液を測定しました※1,※2。
従来装置では測定できなかった長波長領域の蛍光ピークも測定することができます。また,スペクトル補正機能が標準で搭載されているので,自動で正確なスペクトルが得られます。
液体窒素冷却下のチラコイド膜溶液の蛍光スペクトル
※1 岡山大学 沈 建仁先生のご協力で測定しました。
※2 この測定は低温測定ユニットを使って測定しました。別途お問い合わせください。
軽油中のクマリンの分析
クマリン分析キットを用いれば,前処理・後処理が大幅に簡素化できます。
- 前処理が簡単です。スターラチップ入り試験管型セル1本で,抽出から測定まですべて行えます。
- 使い捨ての試験管型セルを採用していますので,器具洗浄などの後処理が大幅に簡素化できます。
- 高性能の分光蛍光光度計との組み合わせにより,精度の高い分析が行えます。
※本システムは,一般社団法人全国石油協会様が考案された分析方法に基づき,同協会様のご指導によりキット化したものです。
標準試料の蛍光スペクトル
検量線
鉱物の種類判別の可能性
方解石は石灰岩を主成分とした鉱物として知られている無色透明な鉱物ですが,不純物を含むと着色することが知られています。
今回,3種類の異なった方解石を用いて,励起波長を変えながら蛍光スペクトルを測定する3次元測定を行いました。
なお,方解石AおよびBは黄色透明,方解石Cはピンク色透明の鉱物です。
方解石AとBは同じ蛍光パターンを示していますが,方解石Cは方解石AとBに見られる370 nm付近の蛍光(励起波長は205 nm付近)に加えて,430 nm付近(励起波長は225 nm付近)に非常に強い蛍光が見られていることがわかります。
この蛍光は,ピンク色の着色原因となっているマンガン(Mn2+イオン)などの金属イオンによるものであると思われます。
なお,金属イオンによる蛍光波長は結晶場の大きさに敏感ですので,鉱物の種類が変わると蛍光波長も変わる可能性があります。
医薬
塩酸デュロキセチンの測定(USP)
塩酸デュロキセチンはUSP収載化合物で,抗うつ剤として用いられています。
RF-6000を用いて塩酸デュロキセチンの測定を行い,定量下限値は0.0007 µg/mL,検出下限値は0.0002 µg/mLの結果が得られました。より低濃度まで正確に測定できるようになりました。
塩酸デュロキセチンの蛍光スペクトル
ライフサイエンス
DNA検出用蛍光色素の測定
DNAと結合したときにのみ蛍光を発する色素で標識されたDNAプローブを用いることで,プローブに相補的な特定のDNAを検出することができます。
下図に2種類の蛍光色素で標識されたプローブによって蛍光を発するようになったDNAの3次元測定を行った結果を示します。
蛍光色素毎に現れる特有な蛍光ピークを,超高速スキャニング機能により迅速に確認することができます。
食品
牛乳の分類・判別
牛乳には生乳・加工乳や,乳脂肪分の量(低脂肪乳・無脂肪乳)などのさまざまな種類があり,それらの種類によって独特の3次元蛍光スペクトルを持つ場合があります。
今回,3種類の異なった牛乳(A,B,C)を用いて,励起波長を変えながら蛍光スペクトルを測定する3次元測定を行いました。
なお,試料は蒸留水で5倍に希釈しました。
牛乳Aと牛乳Cは異なった蛍光パターンを示し,牛乳Bは牛乳Aと牛乳Cの蛍光パターンの両方を持っていることがわかりました。
3次元蛍光スペクトルにより,種類を区別できる可能性があります。
環境
水中のオイル測定 ASTM D5412
アメリカ材料試験協会(American Society for Testing Materials: ASTM)のテスト規格(ASTM D5412)では,水中に含まれるオイル内の多環芳香族炭化水素の分析を規定しています。今回,多環芳香族炭化水素5種の混合液を作製し,シンクロスキャン*による目的物の分離を行いました。図1に5種類の多環芳香族炭化水素混合物の蛍光スペクトル,図2にベンゾ[a]ピレンのシンクロスキャンスペクトル,図3に多環芳香族炭化水素混合物のシンクロスキャンスペクトルを示します。
混合物試料の蛍光スペクトルでは明瞭に分離されなかったベンゾ[a]ピレンのピークが,シンクロスキャンスペクトルではかなり明瞭に分離されていることがわかります。
*シンクロスキャンとは
分光蛍光光度計の励起分光器と蛍光分光器を一定波長間隔ずらした状態で両方を同時に走査するスキャンモード。
複数種の成分が混在していても,目的物質の蛍光ピークをシャープに検出することが可能です。
クロロフィルの微量測定
河川や湖沼の水質の検査で,クロロフィル量の測定がよく行われています。河川等ではクロロフィルの濃度も低いため,感度のよい測定が求められます。クロロフィルは光を照射することで蛍光を発しますが,照射により蛍光強度が徐々に弱くなります。そのため,ごく微弱な励起光での蛍光測定が求められます。同一のクロロフィル液を通常のバンド幅5 nmの励起で繰り返し測定すると,図1のように変化してしまいますが,バンド幅を狭くすることで図2のようにほとんど変化のないスペクトルを得ることができました。この結果は,低濃度のクロロフィル液に対して感度のよい測定が行えることを示しています。