SMV-301/301RT - アプリケーション
ムーニービスコメータ
ゴムの粘弾力性評価(ムーニー粘度から応力緩和測定まで)
ムーニー粘度から応力緩和測定まで,ゴムの粘弾性評価に。
装置の原理とムーニー粘度
上下ダイで形成される円筒状試験室の中心部に,駆動モータによって回転するロータを設けています。試験室の中空部に試料を充満させ,ある一定の温度に加熱した状態でロータを回転させます。試料の抵抗によりロータが受けるトルクをロードセルで検出し,試料のムーニー粘度として測定します。
ロータの反トルクによって生じた回転基板の回転力は,ロードセルに推力Pを加えます。JIS K 6300 の規定より,ロータの反トルクが8.30N・m のとき,ムーニー粘度表示器の値が100 を示すように,基準分銅でロードセルをキャリブレーションします。
ムーニー粘度試験は,原料ゴムおよび配合ゴムのムーニー粘度を測定するために行います。ムーニー粘度とは,ロータ始動時から所定の時間(=ムーニー設定時間)に達した時の粘度のことを言います。規格では予熱時間終了後4分後のムーニー粘度のみを測定することになっています。SMV-301/301RTでは,任意の10点までムーニー粘度検出時間を設定することが可能です。
ムーニースコーチ試験は,配合ゴムのスコーチタイムを求めるために行います。スコーチ試験では,一度粘度が下がってから加硫の進行にともなって粘度が上昇を始めます。粘度の最低値Vmから,所定の上昇値(=スコーチポイント)に達した時の時間(=スコーチタイム)を測定します。規格では,スコーチポイントは5Mと規定されています。SMV-301では,スコーチポイントを任意に10点まで設定することができ,ピーク値Vp,最低値Vm,及びスコーチタイムの測定が可能です。
ムーニー粘度差の測定が可能(ISO 289-3準拠)
デルタムーニーA:
ムーニー粘度検出時間の設定で,最初と最後に設定された条件におけるムーニー粘度の差を求めます。
デルタムーニーB:
測定されたムーニー粘度の極小値(MLmin)とそれに続く極大値(MLmax)との差を求めます。
ISO 289-4,ASTM D 1646に従った応力緩和測定を行うことができます。
ムーニー粘度試験後にロータの回転を急に止めると,試料に生じていた応力が減衰します。この応力(トルク)の減衰率を時間の関数として求めることが応力緩和試験です。ゴムの応力緩和の推移は,弾性と粘性の組み合わせによるもので,遅い緩和は高い弾性成分を示し,速い緩和は高い粘性成分を示します。ムーニー粘度は,未加硫ゴムの分子量を反映しますが,応力緩和は分子量分布,分子鎖,ゲル含量のようなゴムの分子構造と関係があり,練りや加工性を判断することができます。
ディケイタイム(Decay Time)
tx(sec):
ロータ停止後のトルク値を100%とし,そこからX%(設定値)低下するまでの時間。
Xt(%) :
ロータ停止後のトルク値を100%とし,ロータ停止からt秒(設定値)後のトルクの減衰の割合。