eMSTAT Solution - 特長
直接イオン化質量分析データ対応 統計解析ソフトウェア
直感的な操作で分析データを統計解析
各試料を特徴付けている成分を探索するために、全ての測定値を総合的に取り扱い、その中に存在する違いを引き出す解析方法、主成分分析(PCA)を用いると、サンプル間の差を視覚化できます。Score PlotとLoading Plotから各グループの特徴に寄与しているピークを選定し、Box Plotによりグループ間の違いを確認することが可能です。
既知の試料のデータ(教師データ)を用いてモデルを作成し、未知試料の判別分析を行うことができます。判別モデルを作成し、未知サンプルデータを読み込むと、データごとに属するグループが示されます。
判別モデルのアルゴリズムはSupport Vector MachineとRandom Forestから選択可能です。
eMSTAT Solutionのワークフロー
フレキシブルなグループ分けが可能な動的グルーピング
対象サンプルの属性(原料、反応条件、正常/異常、製造メーカー、種別など)に応じて分類し、それぞれのグループを特徴づけるマーカーを探索することがあります。eMSTAT Solutionの動的グルーピング機能は、これまでの分類情報を保持したまま新たな分類を作成でき有用です。
グループの識別をサポートする未知サンプルの判別機能
合成高分子の劣化判別
ポリスチレン(加熱/非加熱)のMALDIマススペクトルを多変量解析(PLS-DA)すると、加熱/非加熱の2群に分かれました(Score Plot)。2群の差異に影響を及ぼすピーク(マーカーピーク)がどれなのかは、Loading Plotを使用するとにより確認できます。
多変量解析によって抽出されたマーカーピークを用いて判別モデルを作成し、別途取得したポリスチレンのマススペクトルに対して加熱/非加熱の判別を行った(SVM)ところ、すべて正しく判別することができました。
分子量の大きい試料を簡便に測定できるMALDIとeMSTATSolutionの組み合わせにより、合成高分子以外でも、タンパク質、脂質、糖鎖など多様な試料の識別が簡単に行えます。
牛肉質等級の簡易識別
市販されている牛肉(A5、A4和牛およびタスマニアビーフ)の抽出液をDPiMSシステムで分析し、得られたスペクトルに対してPLS-DAによる解析を行いました。3群間のグルーピングはScore Plotにより確認でき、どの代謝物ピークがグルーピングに影響しているかはLoading Plotにより確認できます。
DPiMSシステムによる簡便な代謝物分析によって得られたスペクトルは、eMSTAT Solutionを用いることで簡便に食品や植物サンプルなどの違いを識別でき、識別に寄与する代謝物情報のスクリーニングが行えます。
牛肉の肥育農家の判別
eMSTAT Solutionは、クロマトグラムデータ、マススペクトルデータ以外の各種データ形式(JCAMP形式、ASCII形式、mzML形式など)のデータも読み込み可能です。様々なデータを集約して解析でき多角的な評価を支援します。
ブランド牛肉について、総計約600検査項目(ガスクロマトグラフ質量分析計、紫外可視分光光度計、食肉脂質測定装置、マイクロ波乾燥式水分計、目視評価の各データ)に亘る既知の試料のデータ(教師データ)を使って判別モデルを作成し、未知試料(農家2)の判別分析を行いました。香気成分としてロースト臭を付与するベンゾチアゾール、一次代謝物としてリノール酸が肥育農家2の特徴的付けに影響を与えていました。さらに、未知試料(農家2)を適切に判別できました。