2つの異なる分離系を最大限に活用し,網羅的な2次元分離を達成

包括的2D-LCは,2つの異なる分離系を直交的に組み合わせて分離性能を大幅に向上させる分析手法です。複数の分離系を組み合わせることにより,通常の1次元LCでは分離困難な成分をも分離することが可能になるため,複雑な試料の分析に用いられます。

複雑な試料の場合,分離不十分のためにピークが重なり合うこともある

 

1次元目で分離した成分をさらに2本目のカラムで分離するため,複雑な試料でも高分離を達成する

1次元LCと包括的2D-LCとの違い

包括的2D-LCでは,1次元目の溶離液をサンプルループに分画し,オンラインで2次元目で分離を行います。流路切替バルブと2つのサンプルループを使用することにより,サンプルループへの分画と2次元への注入を交互に繰り返すことで,1次元の溶出液をすべて2次元目で分析します。

包括的2D-LCシステムの流路と動作

ポジティブモードとネガティブモードの同時分析

島津トリプル四重極質量分析計(TQMS)は、世界最速クラスの極性切替時間とデータ取込時間を有しています。包括的2D-LC分析では2次元目の分析時間が短いため、LC-MSの高速性能がデータにの質に影響します。島津TQMSの高速分析性能は、包括的2D-LCでの多成分高速分析においても安定したデータ取得に役立ちます。
下図はポリフェノール10成分をNexera-eシステムと島津TQMSで一斉分析して得られた等高線データです。ポリフェノール類にはポジティブモードで強く検出される成分とネガティブモードで強く検出される成分が含まれますが、島津TQMSを用いることで1回の分析で網羅的に両方のデータを取得することができました。

ポジティブモードでの検出 

ネガティブモードでの検出 

ポリフェノールの一斉分析
①gallic acid, ②catechin, ③epicatechin, ④sinapic acid, ⑤hesperid in, Isorhamnetin-3-o-glucoside, ⑥quercetin,
⑦naringenin, apigenin, kaempferol

1次元目・2次元目の分析パラメーターを簡単設定

包括的2D-LCでは,1次元目および2次元目の分析パラメーターをそれぞれ設定する必要があります。一般に,1次元目の超低流速の分析と2次元目の超高速分析の設定は煩雑になります。Nexera-eでは,1次元目の分析条件は通常の分析LCと同じように設定できます。2次元目の分析条件もグラジエント設定が容易にでき,さらに1次元目のグラジエント条件に合わせた条件の調整が可能です。

2次元データへの変換と,2次元データ上での定性・定量解析

2次元LCのための解析ソフトウェアChromSquareにより,2次元LCのデータを2次元の等高線データとして表示できます。得られたクロマトグラム上のピークは,2次元の等高線データでスポットとして表示されます。ソフトウェア上でそのスポットにカーソルを合わせることで,そのスポットのマススペクトルと2次元目クロマトグラムが表示され,そのピークの定性をサポートします。また,そのスポットに対して検量線を作成し定量を行うことも可能です。

 

包括的2次元LCのLC-MSデータ解析画面

検量線の表示

 

※ChromSquareはイタリアChromaleont S.r.l.の製品です。

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