Nexera GPCシステムによるスループット向上

高分子の分子量分布の測定はサイズ排除モードで行われるHPLC 分析の一分野で、古くからGPC (gel permeationchromatography) と呼称されています。昨今の高速化によるスループットの向上の要求は分析手法の確立したGPC でも重要視されつつあります。一般的なカラムを用いたオーバーラップインジェクションによる効率化と、高分子添加剤の定量を同時に行った例をご紹介します。


オーバーラップインジェクションによるGPC 分析と添加剤の同時分析 

高分子化合物の平均分子量、多分散度を計算するGPC 分析では、重量応答する示差屈折率検出器(RID)を用いる場合が多く、酸化防止作用のある添加剤の分析には二重結合を持つ化合物が多いため、UV 検出器が多用されます。従って検出は上記二つの検出器を直列に接続して使用します。GPC分析においては、排除限界以前の成分が溶出することはほとんどなく、連続して分析する場合、溶出成分のないクロマトグラム前半に、前回分析の成分溶出バンドを重ねるように注入タイミングを制御することで、分析時間の短縮、即ちスループットの向上が図れます。しかし、複数の添加剤が共存する場合、排除限界の小さなカラムを使っても、低分子の添加剤相互の完全分離は難しく、正確な定量分析は困難な場合がほとんどです。そこで、UV 検出器にスペクトル情報も同時に得られるフォトダイオードアレイ検出器(PDA)を採用し、ピークデコンボリューション機能を用いて未分離添加剤相互の分離向上による定量も併せて実施しました。図1 に今回の検討に用いたポリスチレンと三種の添加剤をGPC 分析して得られたクロマトグラムを、表1 に分析条件を示します。

 

 

オーバーラップインジェクションによるハイスループット化

図1 に示すクロマトグラムでは、0~15.5 min の区間に溶出成分がないことから、これをオーバーラップ区間としたオーバーラップインジェクション分析を実施しました。その際のオーバーラップの有無による連続クロマトグラムの比較を図2 に示します。ほぼ半減した分析サイクルによるハイスループット化が確認できます。

図2.オーバーラップインジェクションにより分析サイクルを約50%改善した例

 

熟練度によらず、信頼性高い分析を実現

高価なGPCカラムを保護:Flowpilot(フローパイロット)

 

熟練者は送液を開始する際、急激な圧力付与によるカラム劣化を避けるため、カラム温度を上げながら段階的に移動相流量を増加させます。カラムオーブン温度と連携した移動相流量制御機能 FlowPilotは、まるで熟練者のような手順でカラムを保護しながらカラム平衡化を自動実行します。

  
 
 
 

連続分析中に移動相を枯渇させない移動相モニター

移動相やオートサンプラの洗浄液などの残量を重量センサー*を用いて、リアルタイムでモニタリング(最大12液)。 分析開始時に、残量が必要な液量を満たさない場合はメッセージでお知らせ。また、分析中も常に残量をモニターして、枯渇の可能性が生じれば作業者にPCやスマートデバイスで通知。補充のタイミングを事前に判断しやすくなります。 *オプション

 
 
 
 
 
 
 
 

万が一に備えて、常に自らを監視

 

ごく稀に、気泡となった移動相中の溶存空気がポンプ内に引き込まれ送液不良を引き起こし、クロマトグラムに異常を生じさせることがあります。新しいNexeraシリーズではこの現象を検知し(自己診断)、オートパージによって気泡を排除してシステムを正常に回復する(自己復帰)機能を搭載しています。無人運転でも信頼性の高いデータが得られ、失敗データ採取で移動相や貴重な試料を無駄にすることもありません。

 

 

ワークフローを自動化

装置のスタートアップからシャットダウンまでの一連の分析業務を支援する機能により、作業効率が大幅にアップします。カラムオーブン温度と連携した移動相流量制御機能FlowPilotにより、カラムを保護しながらカラム平衡化を自動実行します。ベースラインドリフトの自動チェックで装置の安定を待つため、装置のそばにいる必要はありません。

  
 

グラフィカルな画面で分子量分布解析を容易に

わずか3ステップで較正曲線を作成

データ点数は最大64点。仮想点も容易に設定でき、豊富な近似式の中から適切な較正曲線を視覚的に確認しながら作成可能です。また、マークホインク変換による較正曲線補正やQファクタ、重合度など各種補正を利用することができます。
 

グラフィカルなGPCデータ解析画面

- グラフィカルな操作で波形処理間マニピュレーションを実行可能

- 複数検出器のデータを1つのファイルとして管理

波形処理と連動して分子量分布曲線も同時に更新される ので、平均分子量、固有粘度、多分散度などの結果がすぐに確認できます。内部標準ピークやコントロール試料による時間補正、さらに検出器の感度補正も可能です。

 

一度に多検体を評価できるデータ比較画面

‐ 最大10検体の溶出曲線や微分・積分分子量分布曲線を重ね描き表示

- 各種平均分子量、固有粘度多分散度の統計結果を表示可能

 

多彩なレポートフォーマット

LabSolutionsにはさまざまな分析結果に対応したレポートテンプレートをご用意しています。豊富なレポートアイテムと自由度の高い配置により多彩なレポートに対応可能です。また、PDF出力機能を標準搭載していますので、分析結果レポートをデータベースに自動で取り込ませて管理することができ、ラボのペーパーレス化、分析業務のエコ対策を推進します。

最終報告書作成を省力化

分析結果を表計算ソフトウェア(ExcelⓇなど)に転記して、最終報告書を作成していませんか?LabSolutionsにはレポート作成業務を省力化するマルチデータレポート機能があります。分析結果がExcelと同様のスプレッドシートに自動的に入力されるので、もう転記の必要はありません。

ANALYTICAL INTELLIGENCE

Analytical Intelligenceは、島津製作所が提案する分析機器の新しい概念です。システムやソフトウェアが、熟練技術者と同じように操作を行い、状態・結果の良し悪しを自動で判断し、ユーザーへのフィードバックやトラブルの解決を行います。また、分析機器に対する知識や経験の差を補完し、データの信頼性を確保します。

 
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