LCMS-8045 - 特長
トリプル四重極質量分析計
さまざまな応用分野で,威力を発揮するLCMS-8045の性能
◆ 動物用医薬品
魚肉中のニトロフラン代謝物の検出
ニトロフランは合成抗菌剤の一種であり,動物用医薬品として利用されていますが,我々の食用となる畜海産動物への使用は国内外で禁止されています。下記に示したLCMS-8045によるニトロフラン代謝物4成分の分析では,0.05~20 ng/mLにおいて,良好な直線性と高精度な定量結果が得られました。LCMS-8045では,高感度かつ信頼性の高いデータ採取が可能ですので,複雑なマトリクス中の超低濃度残留物質であっても,正確な定量分析を行うことができます。
化合物名 | 検量範囲 (ng/mL) |
精度(%) | LOD (ng/mL) |
---|---|---|---|
AMOZ | 0.05 - 20 | 94.5 - 103.8 | 0.00024 |
SEM | 0.05 - 20 | 93.2 - 111.6 | 0.015 |
AHD | 0.05 - 20 | 95.5 - 102.1 | 0.001 |
AOZ | 0.05 - 20 | 94.0 - 108.4 | 0.00096 |
※ LODはS/N=3として算出
◆ 残留農薬
漢方薬中残留農薬の一斉分析
近年,食物の安全性に対する意識が高まり,各地域や各国では食物中の残留農薬の上限量を厳しく規定しています。下図は,2015年版中国薬局方で規定された農薬153成分の一斉分析データです。試料にはキキョウ科のつる性多年草である党参(とうじん)を使用しました。規定された153成分の農薬を0.01 mg/kgで添加しました。本分析例では,LCMS-8045が十分な感度を示すことが分かりました。LCMS-8045は,LCMS-8050/8060と同じ5 msecでの極性反転能力を有しているため,一度の分析でポジティブイオンとネガティブイオンの両方を十分なサンプリングポイントとともに検出することが可能です。
Synchronized Survey ScanTM(SSS)機能を用いることにより,MRM測定における強度閾値を用いた自動プロダクトイオンスキャンが可能です。1回の分析で定量と定性の両立が可能となり,非常に効率的です。
◆ 環境水
医薬品・パーソナルケア製品(21成分)の高速・高感度分析
医薬品およびパーソナルケア製品(PPCPs: Pharmaceuticals and Personal Care Products)とは,各個人が生活のために使用する化学製品群や農業において使用する農薬などの化合物群を抱合した言葉です。このような製品の使用の増加に伴い,環境中での検出頻度は高まってきています。LCMS-8045の高い感度と安定性によって,サンプルを濃縮することなく,PPCPsを正確に定量検出することが可能です。
No. | Compound | LOD (ng/mL) |
LOQ (ng/mL) |
No. | Compound | LOD (ng/mL) |
LOQ (ng/mL) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Lincomycin | 0.01 | 0.04 | 12 | Ifenprodil | 0.0075 | 0.022 |
2 | Trimethoprim | 0.01 | 0.04 | 13 | Erythromycin | 0.015 | 0.045 |
3 | Pirenzepine | 0.01 | 0.03 | 14 | Azithromycin | 0.01 | 0.03 |
4 | Ofloxacin | 0.01 | 0.03 | 15 | Clarithromycin | 0.0034 | 0.01 |
5 | Ciprofloxacin | 0.002 | 0.006 | 16 | Roxithromycin | 0.0071 | 0.022 |
6 | Sulphapyridine | 0.002 | 0.006 | 17 | Carbamazepine | 0.01 | 0.03 |
7 | Carbazochrome | 0.015 | 0.045 | 18 | DEET | 0.0062 | 0.018 |
8 | Metoprolol | 0.013 | 0.04 | 19 | Crotamiton | 0.005 | 0.015 |
9 | Dicorantil | 0.005 | 0.015 | 20 | Bezafibrate | 0.0025 | 0.075 |
10 | Sulfamethoxazole | 0.003 | 0.01 | 21 | Triclocarban | 0.01 | 0.03 |
11 | Antipyrine | 0.01 | 0.03 |
※ LODはS/N=3,LOQはS/N=10として算出
◆ バイオアナリシス
血漿中アムロジピンの高感度定量
アムロジピンは高血圧治療薬や狭心症治療薬として世界中で幅広く使用されている医薬品です。本医薬品をモデルサンプルとして,ヒト血漿中での高感度定量法を開発しました。下記に示したLCMS-8045を用いた分析例では,0.003~300 ng/mLという非常に幅広い定量範囲が良好な精度で得られました。また,3つのQC: Quality Controlサンプル(Low, Middle, High)を用い,日内および日間変動を評価しました。日内変動と日間変動はともに5%以下という良好な結果を示しました。
アムロジピンの定量結果
レベル | 設定濃度 (ng/mL) |
算出濃度 (ng/mL) |
精度(%) |
1 | 0.003 | 0.003 | 104.5 |
2 | 0.01 | 0.01 | 97.2 |
3 | 0.03 | 0.031 | 103 |
4 | 0.1 | 0.107 | 107.1 |
5 | 0.3 | 0.268 | 89.4 |
6 | 1 | 1.062 | 106.2 |
7 | 3 | 2.958 | 98.6 |
8 | 10 | 10.293 | 102.9 |
9 | 30 | 27.37 | 91.2 |
10 | 100 | 98.722 | 98.7 |
11 | 300 | 303.619 | 101.2 |
ヒト血漿中に添加したアムロジピンの日内変動と日間変動
QC sample | 濃度 (ng/mL) |
%RSD | 精度(%) | |
日内変動 (n=6) |
Low | 0.1 | 3.78 | 97.8-109.1 |
Middle | 5 | 3.16 | 90.0-95.4 | |
High | 240 | 0.85 | 95.9-97.6 | |
日間変動 (n=18) |
Low | 0.1 | 4.5 | 87.5-110.3 |
Middle | 5 | 4.92 | 88.1-102.9 | |
High | 240 | 4.25 | 88.3-104.0 |
堅牢性と操作性を兼ね備えたプロダクトデザイン
◆ 高感度を長期間維持する卓越した頑健性
LCMS-8045は,当社独自開発のHeated ESIプローブを採用し,感度向上を図るだけでなく,堅牢性を重視した設計になっています。下記データは,ヒト血漿中に添加したアルプラゾラムを12,000回連続分析して,面積比(内標アルプラゾラム-d5)をプロットしたものです。各日480回,計25日間の分析を行いました。12,000回のデータを通して%RSD 3.42%の優れた面積比再現性を得ることができました。
◆ 機器検出限界(IDL)
いくつかのベンダーが,質量分析装置の感度を評価する方法として,機器検出限界(IDL)を採用しています。LCMS-8045を用いてESI+(レセルピン)とESI-(クロラムフェニコール)のIDLを測定しました。下記データが示す通り,レセルピンでは2.03 fg,クロラムフェニコールでは2.09 fgと非常に良好な結果が得られました。
◆ シンプル設計のイオン化ユニット
新デザインのイオン化ユニットはケーブルレス,チューブレス構造で,交換手順がとてもシンプル。取り外すときは,ワンタッチレバーを解除してユニットを開いて上に持ち上げるだけ。別のイオン化ユニットへの交換作業もストレスなく行っていただけます。APCIとDUISに装着されているニードルは工具なしで取り外しが可能で,メンテナンスも簡単です。
◆ ダウンタイムを短縮するメンテナンス性
「かんたんメンテナンス」を従来機から継承。サンプルを真空部へ導入するDL(DesolvationLine)やESIキャピラリーが短時間で簡単に交換できます。DLも真空状態のまま交換できるので,分析のダウンタイムを最小限にとどめることが可能です。
● DLの交換ステップ
● ESIキャピラリーの交換ステップ
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