図3より明らかなように、急峻な分布の場合は、ファーストピークだけでなく、ファーストボトムが現れていますが、分布幅が広がるとファーストピークは残るもののファーストボトムは消えてしまいます。さらに分布幅が広がるとファーストピークの位置も特定できなくなってしまいます。
「15回折・散乱光の光強度分布データの活用 その2」で紹介したように、ファーストピークの位置(「センサの素子番号の何番目か?」)は、平均粒子径とほぼ1対1の対応関係をもっています。言い換えれば、ファーストピークの位置は、測定対象の平均粒子径によって変化するので、あらかじめ、基準となる複数のサンプルを測定し、「ファーストピークと平均粒子径の対応関係」を調べておけば、粒度分布の測定結果の妥当性を検証する手段として活用することができます。 さらにファーストボトムが存在すれば、非常に急峻な分布幅を持つサンプルであることがわかります。 また、ファーストピークがあいまいになってしまった場合、平均粒子径の情報は得られませんが、分布がかなり広いことだけはわかります。
このように、屈折率の条件や粒度分布の計算アルゴリズム(ソフトウェア)と関わりなく、回折・散乱光の光強度分布データから直接的かつ直感的に、粒度分布に関する重要な情報を抽出することができます。この情報に基づいて、測定結果として求められた(計算された)粒度分布データの妥当性を検証することができます。 |