粉博士のやさしい粉講座
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実践コース:測り方疑問解決編
レーザ回折式粒度分布測定装置
26 乾式による磁性粒子の測定
乾式測定は、以下のように湿式測定では対応できない測定対象や測定目的の場合に用いられます。
 
  ●水や分散媒に溶解してしまうため、湿式では測定できない医薬品や食品
  ●粉体塗料のようにその使用目的/条件から考えて、乾式で測定すべきサンプル
これに加えて、
  ●液中では凝集しやすく分散が極めて困難な磁性粒子
の測定にも有効であることがわかってきました。

高性能モータや、高密度記憶媒体の開発や品質管理において、その性能・品質を大きく左右する磁性粒子の粒度分布を正確に測定することは非常に重要です。レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、正確に粒度分布を測定するためには、まず測定対象となる粒子群を媒体中に一様に分散させる必要があります。
ところが、液中で、磁性粒子の粒子群を一次粒子にまで分散させることが極めて困難であり、また、一時的に分散できたとしても、すぐに再凝集してしまいます。粘性の高い媒液を用いた場合でも、再凝集を抑制することはできますが、そもそも粘性の高い媒液の中で粒子群を一様に分散させることがさらに困難です。
したがって、かなり強い磁性を持った粒子群の粒度分布を液中で正確に測定することは極めて困難であると言えます。

 

噴射型乾式測定の場合、粒子群を含む気流が、図1のノズルを通過する間に、断面の面積と向きを急速に変化させることによって、粒子群を効果的に分散させ、噴射させています。高速でノズルから噴射され、レーザ光を通過して回折・散乱光が検出されるまでの時間は極めて短いので、この間に再凝集する可能性はほとんど考えられません。
また、図1のノズルの場合、断面積を極端に絞っている(小さくしている)箇所がないので、ノズル通過中の凝集の可能性も低くなっています。

図1 磁性粒子の測定に適したノズル
図1 磁性粒子の測定に適したノズル

磁性粒子の測定例として、実際に六方昌バリウムフェライト粒子を湿式と乾式で測定した結果を図2に示します。乾式測定ではうまく測定できていますが、湿式測定では、凝集してしまうため、粒子径が 10 倍程度にまで大きくなっています。

 

このように、磁性粒子の測定には、湿式測定よりも乾式測定のほうが適していることがわかります。

図 2 磁性粒子の測定結果

 

図 2 磁性粒子の測定結果
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