粉博士のやさしい粉講座:実践コース

 

粉博士のやさしい粉講座
講座案内 初級コース 中級コース 実践コース
実践コース:測り方疑問解決編
レーザ回折式粒度分布測定装置
23 測定時間とモニタリング機能
レーザ回折式粒度分布測定装置における測定時間は、湿式測定に限っても、図1に示すように2つの考え方があります。
通常、カタログ等に掲載されている測定時間は、「光強度分布データの検出」から「粒度分布データの計算」を経て「粒度分布データの表示」までの「測定時間A」ですが、多数のサンプルを短時間で測定しようとすれば、「分散媒の投入」から「洗浄」の終了までの「測定時間B」の方が問題になってきます。この「測定時間B」は一般的に「洗浄を含めて○分○秒」とかいった表現が行なわれています。

図1

今から十年前の時点では、使用するコンピュータあるいはCPUの処理能力が低かったため、「粒度分布データの計算」に3分以上かかっていました。「測定中にコーヒが一杯飲める」といわれていたこともあります。しかし、現在では、コンピュータあるいはCPUの処理能力が飛躍的に進歩したため、かなり複雑な計算アルゴリズムを採用したとしても、0.1秒以下で計算が終了するようになってきています。また、「粒度分布データの表示」に要する時間もほとんど無視できます。

要するに、「測定時間A」は、基本的には「光強度分布データの検出」に要する時間ということになります。複数の光源を使用している装置では、サンプル粒子群に対して同時に光(レーザ光とは限らない)を照射するわけにはいかないので、光源を切替える必要があり、このため多少検出時間が長くなります。特に機械的なシャッター等で切替を行なっている場合にはかなり時間がかかるわけです。

単一のレーザ光源の方式を採用している場合には、光源の切替を必要としないので、その分、検出時間は短くなります。(SALDシリーズは全てこの方式です。)

また、センサの検出素子数が多いほど、AD変換に要する時間が長くなりますが、光源の切替時間に比べればあまり問題にはなりません。

実際には、多数回、光強度分布データを検出し、個々の素子での光強度の平均化を行なっていますが、この平均化の回数をある程度少なくすれば、単一光源のみを使用している装置では、少なくとも1~2秒程度の間隔で連続的に測定を繰り返すことができるわけです。もちろん、複数光源を使用している装置であっても、単一光源だけ使用すれば、同じことが可能になります。この、1~2秒程度の間隔というのは、もちろん「測定時間A」のことであり、同一セル内の同一サンプル粒子群の測定ということになります。サンプル粒子群が全く変化しない場合には、多数回の連族測定には、ほとんど意味がありません。ただし、セル内のサンプル粒子群が時間的に変化する場合には、その様子をモニタリングすることが可能になります。これはある意味で粒度分布測定装置においては画期的なことだと思います。多くの粒度分布測定装置の測定時間(測定時間A)は、数10秒~数分~数10分であり、とてもモニタリングに用いることはできませんでした。したがって、このことは現在の(最新の)レーザ回折式粒度分布測定装置の大きな特長の一つになってきたと言えます。

さて、ここで問題になるのが、セル(とくに回分セル)内で粒子群の時間的変化をモニタリングする必要のあるアプリケーションが存在するかということです。

現在、レーザ回折式粒度分布測定装置の測定下限は、数10nmまで小さくなってきており、この領域の粒度分布を単一光源で測定することが可能であれば、例えば、たんぱく質の抗体・抗原反応の進行状況を、相対的な粒子径の変化としてモニタリングできる可能性も出てきています。また、セル内で粒子が析出してくるような現象が生じるのであれば、それをモニタリングできる可能性もあります。

一方、「測定時間B」については、コンピュータやCPUの処理能力が飛躍的に進歩した結果、「測定時間A」が短くなった現在においても、洗浄に要する時間があまり短くならないので、通常3分~5分を要します。この場合の測定時間を短くするためには、サンプラ・フローセルを用いる循環式の測定において、媒液供給や洗浄方式に工夫を凝らす必要があります。


 
実践コース目次へ レーザ回折式粒度分布測定装置目次へ 前に戻る 次へ進む
Top of This Page