粉博士のやさしい粉講座
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実践コース:測り方疑問解決編
レーザ回折式粒度分布測定装置
20 標準偏差について
平均値の場合と同様に粒度分布の標準偏差についてもいろいろな考え方があります。レーザ回折式粒度分布測定装置SALDシリーズでは、粒子径スケールが対数スケールの粒度分布グラフを採用しているので、このグラフの表現と良く一致するように、対数スケール上で定義された標準偏差を用いています。
まず、測定対象となる粒子径範囲(最大粒子径:x1,最小粒子径:xn+1)をn分割し、それぞれの粒子径区間を、[xj,xj+1](j = 1,2,・・・・ n)とします。この場合の分割は対数スケール上での等分割となります。また、対数スケールに基いてそれぞれの粒子径区間での代表粒子径は
で計算できます。さらにq( j = 1,2,・・・・ n ) を、粒子径区間[xj,xj+1]に対応する相対粒子量(差分%)とし、全区間の合計を100%とすると。対数スケール上での平均値μは
で計算できます。
このμに基いて、対数スケール上で定義された標準偏差は下記のように計算できます。
平均値の場合、10μすなわち10のμ乗で、粒子径の単位をもった平均値が計算できましたが、対数スケール上で定義された標準偏差の場合には、単に10σすなわち10のσ乗を計算しても意味がありません。
図に示すように対数スケール上での区間[μ—σ,μ+σ]に対応する粒子径の区間は
[10μ-σ,10μ+σ]になります。
例えば、平均値が10μmの場合、対数スケール上ではμ=1となります。この時、対数スケール上の標準偏差σ=1とすると、[μ—σ,μ+σ]に対応する粒子径の区間は[1μm,100μm]となります。
この場合、μ—σのポイントである1μmと平均値10μmの距離は9μmであり、μ+σのポイントである100μmと平均値10μmの距離は90μmとなります。
このように対数スケール上では平均値μから等距離にあるμ—σおよびμ+σのポイントも粒子径に変換すると左右の距離が全く異なることになります。
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