粉博士のやさしい粉講座
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実践コース:測り方疑問解決編
レーザ回折式粒度分布測定装置
18 乾式測定
レーザ回折式粒度分布測定装置では、空気中に測定対象粒子群を分散させて測定を行なう乾式測定も可能です。液中に粒子群を分散させる湿式測定だけでなく、乾式測定が可能なことはレーザ回折式粒度分布測定装置の重要な特長であり、幅広いアプリケーションの可能性を示唆しています。
乾式測定は、以下のように湿式測定では対応できない測定対象や測定目的の場合に用いられます。
 ● 水や分散媒に溶解してしまうため、湿式では測定できない医薬品や食品
 ● 粉体塗料のようにその使用目的/条件から考えて、乾式で測定すべきサンプル
乾式測定には、噴射型(強制分散型)乾式測定と、自由落下型(非分散型)乾式測定の2つの方式があります。
噴射型乾式測定の基本的な構成を図1に示します。

 
図1 噴射型乾式測定
図1 噴射型乾式測定
噴射型乾式測定は、圧搾空気を用いて、ノズルから測定対象となる粉体(粒子群)を噴射し、レーザビームを通過するように空気中に強制的に分散させて測定する方式です。圧搾空気の圧力やノズルの形状・構造によって分散力を調節することができます。噴射型乾式測定は、凝集体を分散させることが可能であり、一次粒子の測定に適しています。ただし、一般的にこの様な方式で分散した場合1μm以下の粒子はほとんど存在しないといわれています。
また、液中では凝集し易く測定が困難な磁性粒子をうまく測定できる場合があります。磁性粒子の測定例を図2に示します。つぎに、自由落下型乾式測定の基本的な構成を図3に示します。
図2 噴射型乾式測定による磁性粒子のの測定結果
図2 噴射型乾式測定による磁性粒子のの測定結果
図3 自由落下型乾式測定
図3 自由落下型乾式測定
自由落下型乾式測定は、名前のとおり測定対象となる粉体(粒子群)を測定部上部から振動フィーダ等を用いてレーザビームを通過するように自由落下させて測定を行ないます。これは、粉体(粒子群)に分散力を加えずに測定する方式です。したがって、顆粒などの分散力をかけたくない粉体の測定に適します。
また、分散させずに測定するわけですから、粒子の大きさは、噴射がたに比べてかなり大きくなる可能性があり、それに応じて大きな粒子まで測定できる光学系(測定部)を用いる必要があります。
従来、レーザ回折式粒度分布測定においては、湿式測定が主流であり、乾式測定が適用される分野はかなり限定されていましたが、このところ、医薬品、食品、塗料等の分野を中心に急速に普及しはじめています。これは、噴射方乾式測定方式の技術が向上し、湿式測定と同様に再現性の良い粒度分布測定が可能になったことも大きく影響しているようです。
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