粉博士のやさしい粉講座:実践コース

 

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実践コース:測り方疑問解決編
 
レーザ回折式粒度分布測定装置
2 測定原理に依存する粒度分布
粉博士イラスト 粒度分布が測定原理に依存するという事実は、「粒度分布」という概念そのものに起因する極めて本質的な問題です。
 
粒度分布とは、測定対象となるサンプル粒子群の中に、「どのような大きさ(粒子径)の粒子が、どのような割合(全体を100%とする相対粒子量)で含まれているか」を示す指標(表現手段)です。
 
粒子量の基準(次元)としては、体積、面積、長さ、個数がありますが、一般的には、体積基準を用いることが多いようです。
 
対象となる粒子径の範囲を分割し、それぞれの粒子径区間に存在する粒子量を%で表示するのが、頻度分布です。これに対して、特定の粒子径以下の粒子量が全体の何%であるかを表わしたものが積算分布(フルイ下)です。逆に、特定の粒子径以上の粒子量が全体の何%であるかを表わしたものが積算分布(フルイ上)です。(図1参照)
 

粒度分布の例
図 1 粒度分布の例
 
粒度分布という概念を導入するためには、まず「粒子径」を定義する必要があります。ほとんどの粒子の形状は、球や立方体といった単純かつ定量的に表現できるものではなく、複雑かつ不規則であり、直接的に粒子径を定義することはできません。そこで、「球相当径」という間接的な定義を用います。これは、ある測定原理で、特定の粒子を測定した場合、同じ結果(測定量またはパターン)を示す球体の直径をもって、その被測定粒子の粒子径とするというものであす。 例えば、「沈降法」では、被測定粒子と同じ物質の直径1μmの球と同じ沈降速度をもった被測定粒子の粒子径は1μmとしています。「レーザ回折・散乱法」の場合には、直径1μmの球と同じ回折・散乱光のパターンを示す被測定粒子の粒子径は、その形状に関わらず1μmとしています。
 
これは、測定原理が異なれば、粒子径の定義すなわち測定の基準となるスケールそのものが異っていることを意味しています。この場合、「粒度分布」という名称は同一であっても、全く異なった測定結果を得ていることになります。したがって、測定原理そのものをひとつのスケールあるいは基準として考えざるを得ないのが現実です。このため、各種の測定原理の間に、精度および正確さに対して科学的あるいは客観的に優劣をつけることは無意味です。「どの測定原理が正しいのですか?」という質問と「どの神様が正しいのですか?」という質問とは、ある一面において共通点を持っているのかもしれません。
 
測定原理あるいは測定装置の選択においては、実際に自分が測定しようとする対象と、測定の目的を明確に認識し、それに対して、測定装置の特性、例えば測定範囲、分解能および測定時のサンプルの状態などが、本当に適しているかどうかを中心にして、充分に検討する必要があります。
既存の粒度分布測定装置を測定原理の異なった装置に更新しようとする場合、一般的に過去のデータの蓄積や、品質管理の基準等が、そのまま利用あるいは適用できるとは考えない方が良いでしょう。このような場合、新旧の測定装置を併用する暫定期間を設け、規準等の見直しを個々の測定対象に対して定量的に行い、スムーズな移行を図るべきです。
粉博士イラスト
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