粉博士のやさしい粉講座
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中級コース:粉の測り方いろいろ
4 定容積膨張法による乾式密度測定
従来の液体を用いる液浸法(湿式)ではなく、ヘリウムガスを用いて高精度に密度を測定する方法です。
乾式自動密度計アキュピックII 1345シリーズで採用している乾式密度測定の原理です。
初期状態
最初は、試料室も膨張室も周囲と同じ圧力(大気圧)と温度になっています。
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資料室に試料を投入します
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試料室に試料を投入します。バルブを閉じて、試料室の圧力だけをP1(絶対圧)まで加圧すると、試料室内部の状態式は、以下のようになります。
(1)
P1(VCELL-VSAMP)=nCELLRTa
VSAMP 投入した試料の体積
n CELL 試料室内の気体のモル数
R 気体常数
一方、膨張室の方は、加圧せず、周囲圧力と同じ状態なので、以下のような状態式となります。
(2)
PaVEXP=nEXPRTa
nEXP 膨張室内の気体のモル数
資料室と膨張室の間のバルブを開く
次に、試料室と膨張室の間のバルブを開くと、試料室の圧力は、低下し、膨張室の圧力は上昇します。バルブを開いたことによって、試料室と膨張室を含む系内全体の圧力はP2(絶対圧)となります。

このとき、系内全体の状態式は、以下のようになります。
(3)
P2(VCELL-VSAMP+VEXP)=nCELLRTa+nEXPRTa
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(3)式に、(1)式と(2)式の関係を適用すると、
(4)
P2(VCELL-VSAMP+VEXP)=P1(VCELL-VSAMP)+PaVEXP
となります。

さらに(4)式を変形すると、(5)式が得られます。
(5)
(5)式をゲージ圧を用いて表現すると
(6)
となります。ただし、

(6)式より明らかなように、試料室の体積VCELLと膨張室の体積VEXPが既知であるとき、圧力(ゲージ圧)P1gおよびP2gを測定すれば、試料の体積VSAMPが求められます。別に試料の質量を測定しておき、その質量を体積で割れば密度を求めることができます。
粉博士イラスト
  これが 乾式自動密度計アキュピック1340シリーズ、で採用されている定容積膨張法による乾式密度測定の基本的な考え方じゃよ。  
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