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    粉博士のやさしい粉講座
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    中級コース:粉の測り方いろいろ
    2 ガス吸着法による比表面積/細孔分布測定
    粉体粒子の表面に吸着占有面積のわかったガス分子を吸着させ、その量から試料の比表面積を求めたり、ガス分子の凝縮から細孔分布を測定する方法です。
    ガス分子の吸着と圧力の変化
    試料を冷却した後、窒素ガスのように試料と反応を起こしにくいガスを吹き込むと、試料表面にガス分子が吸着します。
    吹き込むガスの量を増やすと、試料表面はガス分子で覆われていきます。
    表面全体がガス分子で覆われた後は、ガス分子の上にガス分子が重なって多層吸着します。この様子は、グラフに示すように、圧力の変化に対する吸着量の変化として表現できます。
    ただし、このままでは単分子層吸着量、つまり試料表面の一層だけのガス分子の量を正確に読み取ることはできません。
    一層目の吸着から、多層吸着に移行する過程の情報に対して、「BETの式」を適用することにより、正確に単分子層吸着量を計算することができます。
    実際の測定には、ガス分子一個の占める試料表面積がわかっているガスを用います。 そして、単分子吸着量にガス分子一個の占める断面積をかければ、試料の表面積を求めることができます。
    粉博士イラスト
      「BETの式」を用いる方法は、従来から粉粒体の表面積測定に利用されていて、現在も広い分野で応用されているのじゃよ。  
    ガス分子の凝縮と細孔分布
    さらに試料表面にガス分子が何層も吸着していくうちに、細孔、つまり試料表面に存在する微細な穴の中にガス分子が凝縮します。
    このとき、大量のガス分子が気体から液体に変化するので、細孔内で凝縮がおこったかどうかは、ガス分子の吸着量の伸びを監視していればわかります。
    凝縮が起こったときの圧力値は、細孔の大きさと相関があることが知られています。 また、吸着量の伸びは細孔の内容積に比例していますので、上のグラフから細孔の容積の分布、つまり細孔分布を求めることができます。
    粉博士イラスト
      比表面積だけでなく細孔分布も測定ができるのじゃな。
    ガス吸着法はさらに、ガスの種類や試料温度を変えることにより、表面の不均一性、マイクロポア分布、吸着特性そのものなどを評価する方法として、いろいろな分野で利用されているのじゃよ。
     
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