粉博士のやさしい粉講座:初級コース

 

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15 触媒
酸化チタン光触媒の評価
酸化チタンはごくありふれた白色の粉末であり、白色塗料や白色顔料に普通に使われています。ところが、この酸化チタンが波長380nm以下の紫外線を吸収すると、光触媒反応が起こり、常温で酸化分解力を発揮します。例えば、有機物を二酸化炭素と水に分解することができます。
さらに、酸化チタンは、光触媒反応が生成する活性化酸素によって細菌を死滅させると同時に、その死骸や毒素までも有機物として分解することができます。

この酸化チタンの優れた特性を生かした様々な用途や製品が開発されています。例えば、酸化チタンを付加したフィルタに紫外線を照射して、汚れや細菌、ウイルスを殺菌・分解・除去する機能を有した空気清浄機が販売されています。
また、建物の壁に、酸化チタンをコーティングしたタイルを貼っておけば、太陽光線に含まれる紫外線を吸収して、表面に付着した汚れが分解されます。さらに光親水化の作用で、水は水滴にならず表面に完全に広がるので、分解された汚れは比較的少量の水で簡単に洗い流されてしまいます。したがって、タイルの表面は常にきれいな状態に保たれることになります。

素材や原料としての酸化チタンは、粉末や溶液中に分散した微粒子の状態で存在します。これを用途に合わせて加工したり他の素材と複合して用いるためには、粒度分布を正確に把握しておく必要があります。これは、レーザ回折式粒度分布測定装置で測定することができます。

光触媒反応は、酸化チタンの表面で起こる反応であり、対象物質を表面に吸着させる必要があります。したがって、単純に光触媒反応による汚れの分解や殺菌の効率だけを目的とするのであれば、表面が多孔質構造であり、比表面積が大きいほうがよいということになります。
ところが、酸化チタンをコーティングしたタイルのように常に表面をきれいな状態に維持することを目的とする場合には、そもそも汚れの付着が少なく、また光触媒反応によって分解された水分や物質が簡単に洗い流されるようになっている必要があります。このためには、表面が平滑で比表面積が小さい方が都合がよいわけです。これは汚れの分解効率とは相反する条件になりますから、付着と分解のバランスを考える必要があります。
このように、酸化チタン光触媒が目的に応じて効果的に作用するためには、その比表面積や細孔分布(細孔構造)を正確に把握しておく必要があります。これには、ガス吸着法による比表面積・細孔分布測定装置や、水銀圧入法による細孔分布測定装置を用いることができます。
図1に、ガス吸着法を用いて、2種類の酸化チタンの細孔分布を測定した結果を示します。

  図1 2種類の酸化チタンの細孔分布測定結果
図1 2種類の酸化チタンの細孔分布測定結果
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