粉博士のやさしい粉講座
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12 ファインバブル(微細気泡)
 

ファインバブルは,図1に示すように,洗浄,殺菌から,動植物の生育促進,鮮魚の品質維持,医療分野での応用など,1次産業から,2次産業さらに3次産業におよぶ応用の可能性があり,幅広い業界で活用の検討が進められています。

図1 ファインバブルの幅広い応用分野

図1 ファインバブルの幅広い応用分野

ファインバブルは,図2に示すように,1μmを境界として,サイズによって,ウルトラファインバブルとマイクロバブルに分類されます。
この分類は,「ISO/TC281ファインバブルテクノロジー」においてもうすぐ正式に発行される定義規格に含まれています。
図2 ファインバブルの分類

図2 ファインバブルの分類

ウルトラファインバブルはブラウン運動が支配的で 浮上することがほとんどなく 比較的長期間の保存も可能です。したがって サンプリングを行って測定することができます。

一方 マイクロバブルは 浮上や7消失が起こるため サンプリングしての測定は不可能で 図3に示すように フローセルとファインバブル発生装置を直結して インラインで測定を行う必要があります。

図3 マイクロバルブのインライン測定

図3 マイクロバルブのインライン測定

ファインバブルの効果を検証するためには気泡径および個数濃度(個/mL)との相関性を確認する必要があります。
ファインバブルの応用において,サイズと濃度の測定は必須です。
レーザ回折・散乱法を拡張した「定量レーザ回折・散乱法」を用いると,個数濃度の測定は可能になります。図4には,「定量レーザ回折・散乱法」を用いたウルトラファインバブルの測定結果を示します。ここでは濃度の異なる3種類のサンプルを測定し,その結果を表とグラフで示しています。グラフの横軸は気泡径(単位:nm,対数スケール),横軸は個数濃度(単位;億個/mL)です。
図4 濃度の異なる3種類のウルトラファインバブルの測定結果

図4 濃度の異なる3種類のウルトラファインバブルの測定結果

気泡径はいずれも,100nm前後ですが,それぞれの個数濃度すなわち1mL中に含まれるウルトラファインバブルの個数は,26億7千万個,9億7千万個,5億5千万個となっています。従来の「レーザ回折・散乱法」では,粒子量の合計がすべて100%になるので,濃度の比較を行うことができませんでしたが,拡張された「定量レーザ回折・散乱法」では濃度の比較ができるようになりました。
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