欧州化学物質規制とIEC分析規格の最前線Webinar Q&A
Q : RoHS3では2物質が候補に挙がっていると伺いました。こちらの公布は6月ごろまでにはされると昨年末聞いたのですが,実際どうでしょうか。
A : 新規追加予定の2物質は,委任指令で追加されるか,改正RoHS3で追加されるか,未だにはっきりしていません。改正RoHS3で追加される場合は,ある程度先になる可能性があります。
Q : 三酸化二アンチモンはRoHSで規制されるようになるのでしょうか?再評価結果がいつ頃になるかを含め,今後の見通しについてご教授下さい。
A : 三酸化二アンチモンの再評価結果については,今までに何の動きもありません。現段階では,再評価がいつはじまるかもわかっていません。
Q : REACHの鉛認可候補のお話の件,RoHSでは1000ppm規制がすでに出ていますが,SVHCでは現在でも化学品中に1000ppmを超えても問題ではないのでしょうか。詳細を伺いたいです。
A : 鉛が2018年にSVHC認可候補物質リストに入って以降,成形品に0.1%以上含まれる場合は,情報伝達が義務となっています。その他の法律(RoHSなど)で制限されていなければ,情報伝達さえすればEUで上市可能と理解しています。但し,鉛のその用途がECHAに届出されていることが条件です。されていない場合は,自社で届出の必要があります。
Q : 一般的なエンジニアリング樹脂材料(ABSやPOMなど)中の,臭素系,フタル酸エステルの検出限界はどの程度でしょうか?(ppmオーダーで保証できるか?)
A : 今回ご紹介したPy-GC/MSによるフタル酸エステルや臭素系難燃剤の分析は,規制値(1000ppm)のスクリーニングを目的とした分析メソッドとなっております。そのため数ppmオーダーの分析を行う場合には,分析方法を再度検討する必要があります。
Q : Py-Screenerによる受託分析は可能でしょうか?
A : IEC62321-8には,精密定量法(溶媒抽出GC/MS法)とスクリーニング法(Py-GC/MS法)とが規定されています。これらの受託分析機関には,弊社関連会社の株式会社島津テクノリサーチや,弊社とフタル酸エステルの標準物質を共同開発いたしましたSGSジャパン株式会社などがございます。
Q : EDX-7000でもTSCAスクリーニング分析(P分析)は可能でしょうか。
A : EDX-7200特有の機能がないため補正方法が異なりますがEDX-7000用の測定条件と補正のレシピを用意しております。しかし,Pはエネルギーが低いため,蛍光X線では低濃度の測定が比較的難しい元素です。EDX-7000でPの測定は可能ですが,100ppmを下回るPの分析には,より高性能のEDX-7200をお勧めしています。
Q : PIPはさきほどの御説明ですと許容濃度設定なかったと思います。その場合,X線やGCMSでどのように判定すれば宜しいでしょうか。
A : 規制濃度はまだ公表されていないため,使用する装置の検出下限を考慮しながらお客様ご自身で管理濃度を決めていただく必要があります。なお,PIP(3:1)の意図的添加濃度は数%~数10%と言われており,EDXで十分検出することが可能です。より低濃度の含有まで管理したい場合には,検出下限の低いPy-GCMSが有効です。
Q : 蛍光X線スクリーニングキットについて,6種類の検量線を内蔵しているそうですが,分析化学会が頒布するポリエステル樹脂を基材とするRoHS5物質との相関はどの位(データの正確性)でしょうか。変動係数20%以内くらいでしょうか。
A : 内装検量線を使用する場合,分析化学会のポリエステル樹脂との相関は測定条件によって約30%の相関になりますが,ポリエステル材質の分析に分析化学会の試料で検量線を作成した場合はより良い相関が得られます。
Q : EDXでCrが検出された時にUVで高精度(?)に分析することを推奨していますが,主成分が金属,樹脂ともに可能ですか?
A : EDXではCrが検出できますが,六価クロムかどうかは判別できません。六価クロムの判別については,金属の場合はIEC62321-7-1による熱水抽出法,樹脂の場合はIEC62321-7-2によるアルカリ分解法により,得られた抽出溶液中の金属イオンを紫外可視分光光度計(UV)で測定できます。
Q : 有害物質管理の業務を最近担当になったばかりで分からないことが多いのですが,適応除外のPack22~24について詳しい説明をしてもらうことはできますか?
また,TSCA規制はどんな規制か簡単にお願いししたいです。
A : 2020年1月に延期申請された除外項目の評価がPack22からPack24として行われています。Pack22,24については次のÖko Institutのサイトをご参照ください。
https://rohs.exemptions.oeko.info/news
Pack23については次のbiosのサイトをご参照ください。
https://www.rohs.biois.eu/
またTSCAは,化学物質による人や環境への悪影響を防止することを目的とした規制です。日本の化審法と比較されることも多く,新規物質の製造前届出などが必要です。また既存化学物質に関する規制の一つが,今回ご紹介したPIP(3:1)を含む5つのPBT物質の規制です(第6条h項)。詳細は,書籍やWebサイトからご確認いただくとよいと思われます。
Q : 新しい手法でPIPの存在が疑わしいことが分かったということでしたが,分析が確立したということであれば,PIP定量例を示していただけませんか。
A : EDXの定量例は次のアプリケーションニュースで公開していますので,ご参照ください。
APN番号 01-00290-JP
一方,Py-GCMSは定量値を求めるのではなく,管理基準濃度(例. 100 mg/kg)のマスクロマトグラムと比較することで,PIP(3:1)がそれ以上の濃度で含まれているか否かを判定することを目的としています。Py-GC/MSによる定量法は現在検討中です。
Q : 今のEDX-7200で簡易定量するための定量値をppm~100%と記載がありましたが,ppmの最低値は0でよろしいでしょうか?それとも10ppmくらいまでは誤差範囲で測定できないということはありますでしょうか?また,付属キットを使用しないと,CaとPの誤認の可能性はあるのでしょうか?現在,弊社ではEDX-7000を使用中です。
A : 対象物質と対象元素により検出下限は異なります。ポリプロピレン樹脂中のEDX-7200のP検出下限値は約10ppm(大気,測定時間100秒の場合)になります。Caが含まれる場合には,エスケープピークがPに重なります。P分析キットでは重なりによる効果を考慮して計算を行っています。
Q : 既に解説があったかもしれませんが,ROHS適用除外について教えてください。適用除外解除については一斉ではないと思うのですが,それぞれのPACKでいつ結論がでるか目途でもよいので教えてもらってもいいでしょうか。
A : Pack22および24についてはコンサルの報告書が出ており,Pack21と23も,コンサルから申請者宛ての質問は終了していますので,いつ報告書が出てもおかしくありません。前回のときは,コンサルの報告書が出てから官報がでるまで約9か月かかっているため,今回のPackについて官報がでるのは2022年末から2023年はじめと予測されています。
Q : フタル酸エステルの移行試験ですが何℃の環境下での結果でしょうか。
A : 室温での結果となります。移行の有無を確認する模擬的な試験となりますので,実際の環境やフタル酸エステルの種類によって移行の度合いは変わると思われます。
Q : IEC62321の発行にかかる時間軸に対して,REACH規制物質の追加項目,頻度が多すぎるように感じますが(分析手法の標準化が追い付かない),IEC側からREACH規制等に向けて意見を述べることはあるのでしょうか?
A : IEC側から意見を述べることは少ないと思います。一方,RoHS指令やREACH規則で規制が検討されている成分については海外から積極的に分析法の提案がなされています。弊社としましては,日本企業の皆様に不利な内容にならないよう今後も積極的にIECやISOの活動を継続していきたいと考えています。
Q : IEC62321規格について 発行前に物質の規制が始まっており,顧客から分析可能かとよく聞かれます。IIS段階でも分析方法は知ることができますか。知るにはどうしたらいいですか。
A : 新規業務項目提案(NWIP)が承諾されれば,IECのホームページにプロジェクトが公開されます。規格名(案)も公開されるため,どのような物質や分析法の規格が検討されているかを確認いただくことが可能です。
Q : REACH規則のPFASやPFOAが発効された場合は,そのあとで適用除外になる可能性はありますか?
TSCA PIP(3:1)の総リンはICP-MSのようにICP-OESでも測定できますか?
RoHS2およびREACH規則では,DEHP,BBP,DBP,DIBPのほかのフタル酸エステル類の規制の動向についておしえてください。
A : REACH規則の制限に入った場合は,ある特定の用途について制限されます。決定後には適用除外はないと理解しています。適用除外が不可欠の場合は,事前に入らないようにロビー活動することが肝心と思います。PFOAはすでに制限に入っています。
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32017R1000&from=EN
PIP(3:1)は,一般的にICP-OESでもP(リン)は測定対象元素ですが,感度や分析精度は試料前処理や共存元素によって異なり,使用する装置ごとに性能が異なるため,お使いのICP-OESでご目的の分析に必要な感度・精度が得られるかをご確認のうえご使用下さい。
またDEHP,BBP,DBP,DIBP以外のフタル酸エステル類の規制については,弊社のグループ会社である島津テクノリサーチのHPで紹介しております。もしよろしければご参照ください。
https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/tes/s01_05.html?msclkid=f06bc7aeb29d11eca9691cbaf8e60a92
Q : 島津では,どの部品をRoHS分析するか判断する基準は,どのように決めていますか。
A : 発表スライド「島津製作所RoHS分析室での取り組み具体例」の6ページの表にお示しした基準に基づいて選択しています。この表に記載した高リスク品とは,過去に検出事例があったものです。具体的には,フタル酸エステルなら塩化ビニル樹脂(PVC)やゴムなどの材質が該当します。
Q : 管理値はどのような考え方で決められてるのでしょうか?
A : IEC6232-3-1とIEC62321-8を参考にし決めています。
Q : TOTMが分解してDEHPが生成するとのことですが,この根拠となる文献や測定結果等があれば,ご教示いただきたいです。
A : 発表スライド「島津製作所RoHS分析室での取り組み具体例」の14ページの右下の表をご参照ください。表に示しているTOTM濃度を含有する樹脂を,熱で抽出する方法(Py-GC/MS)と溶媒で抽出する方法でDEHPを測定したところ,熱で抽出する方法の方が定量値が大きくなることがわかりました。これは,TOTMの一部が熱によって分解しDEHPが生成されたためだと考えられます。ただし,その量はTOTMの濃度に依らず100~250ppm程度です。
Q : TOTMが分解されてDEHPの検出量が多くなる場合があるとのことですが,逆にDEHPが分解されて本来より少なく検出される場合もありますでしょうか。
A : 弊社がご案内している分析条件では,今までDEHPの分解が認められた事例はありません。
Q : MCCPSの測定法は決まっているのでしょうか。
A : IEC62321ではまだ決まっていません。衣類や革製品中のMCCPsはGC/MS(NCI)法で分析することがISOで規定されています(ISO22818:2021,ISO18219-2:2021)。
Q : PIP(3:1)について,3:1が具体的に何を意味しているのか説明してほしい。お客様よりご質問です。
A : 3:1は,3つのイソプロピルフェニル基が1つのリン酸に結合していることを示していると理解しています。一方,PIP(3:1)はUVCB物質としても知られているため,具体的にどのような構造を持つものが規制対象になるのかは,規制当局のEPAからは明示されていません。
Q : PIP(3:1)の標準試料の異性体組成は製造場所によってバラバラだと思うが,明確な基準はあるか。イソプロリル基を所有していないPIPは対象にならないのか。
A : PIP(3:1)はUVCB物質として知られており,弊社が調べた限りでは統一的な定義は見つかっておりません。情報が得られましたら何かしらの形でご案内させていただきます。
Q : 米国TSCA対応は2022/3/8からと思っていましたが,現時点で最新は2024/10/31からが正しいでしょうか?
A : 2022年3月8日にEPAがPIP(3:1)に関する最終規則を更新しました。詳細は以下のリンクからご確認いただければと思いますが,ご指摘の通り遵守期日が2022年3月8日から2024年10月31日に再延長することになりました。
https://www.federalregister.gov/documents/2022/03/08/2022-04945/regulation-of-persistent-bioaccumulative-and-toxic-chemicals-under-tsca-section-6h-phenol
Q : 金属部品に表面処理があった場合,表面処理剤と母材を分離してそれぞれを均質試料とする,という解釈だったかと思いますが,受注分析の際どのようにされていますか。(社内で分離作業を行う,または分離負荷のため表面処理剤・母材を1つの均質試料としてみなす 等)
A : 弊社のRoHS検査では,金属を極力含まないように表面を削り取りサンプリングします。そして,その測定結果をフタル酸エステルの標準物質(100 ppm)のマスクロマトグラムと比較し,サンプルにフタル酸エステルが含有されていないことを確認します。今までこの方法で運用してきましたが,未だ検出事例はありません。
Q : REACH規制物質に対しての,分析要否判断はどのようにしているか,社内事例はありますか?
A : 弊社では,REACH規則の制限リストに登録されているフタル酸エステルは,RoHS指令で規制されているフタル酸エステルとともにスクリーニングによるサンプル検査を行っています。一方,SVHCに登録されている多様なフタル酸エステル類は一斉分析可能な分析規格がないため,今のところChemSHERPAによる状況提供をお願いしております。
Q : BPAのところで人が触れない部分の扱いはどうなりますか?
A : 電気機器などに内蔵されているものについては,屋外で使用され雨風にさらされるものよりも環境への流出リスクが低いため,一律に規制されないように複数の業界団体からパブコンで意見が出されました。どうなるかはわかりませんので,動向に注意し,インプットをしていくことが大切です。
Q : 最初の講演で欧州が中国より遅れているとは具体例は?
A : 車の自動運転に関する規格が,例としてあげられています。
Q : 最初の講演で申請者と言われていたのは欧州の規制案に意見を出している人,ロビー活動者のことでしょうか?
A : RoHSの除外のところの「申請者」といったのは,除外の延期申請を実際に出した会社や団体(例えばJBCE),グループ(例えばアンブレラ)のことです。
Q : REACH規則のSVHCの分析に関して,最近追加された物質は標準試料がない物質もあると聞きました。どのように分析するのでしょうか。
A : 標準物質の作製が規制に追いついていないことが原因だと思われます。標準物質の作製や維持にはコストが掛かるため,分析ニーズが高まってくれば供給も開始されていくものと考えられます。また一般的に,標準物質のない化合物を定量分析することは容易ではありません。
Q : RoHS3に向けての検査対応装置の案内
A : 大変申し訳ございませんが,次期RoHS指令で規制される化学物質は確定しているわけではございませんので,今の段階でどのような検査装置が必要かを断言することは難しいです。
Q : 自社における規制物質のスクリーニング検査に興味を持っております。
今回ご紹介頂いた装置を導入後,新規物質が追加されたときの対応はどの様になっているでしょうか?
A : Py-Screenerは,今後も継続して新たな規制物質への対応や新機能の搭載を進めて参ります。既にPy-Screenerをお持ちのお客様については,廉価なバージョンアップ版をご用意する予定です。
Q : 欧州の化学物質規制の動向は定期的にお願いします。
A : 日程は未定ですが,規制や規格などの情報をアップデートし再度開催することを検討したいと思います。その際は是非ご参加くださいますようお願い申し上げます。
Q : 本日の5講座目での説明もあったが,閾値未満であることの「保証」は,分析がどのような条件で行われれば可能なのでしょうか。頻度,サンプリングの場所,毎ロットか,同一ロットのどの位置部分をサップリングするのか,n数は?保証となるとかなり多数の基礎分析を行って統計的に妥当性を求める必要があるとは考えるが,少し現実的でないように感じるのですが,なにか良い判断基準のようなものがあれば教えて下さい。
A : ご指摘の通り,製品の非含有を分析検査だけで判断することは困難であると考えています。弊社では,過去の検出事例(検出頻度や検出箇所)や納入業者の監査結果を踏まえ,検査する部品の抜き取り数やサンプリング箇所を決定するようにしています。最終的には,納入業者からの非含有証明書などを併せて総合的に判断するようにしております。
Q : PVC(ポリ塩化ビニル),三酸化二アンチモンがRoHS指令やREACH規則で規制される可能性について,最新の情報を踏まえ情報提供いただけないでしょうか。
A : まずRoHSについては:三酸化二アンチモンは再評価がされますので,その結果次第でRoHS指令で規制される可能性はあります。PVC自体は2020年6月に出されたPack15報告書には,PVC自体は優先順位が高いものとしてあげられていませんが,PVCに使用する可塑剤としてDINPやDPPが挙がっています。REACH規則に関しては:PVCには動きは内容です。三酸化二アンチモンは,CoRAPのリストに入っていますので,今後注意して見ていく必要があると思います。
Q : 弊社はアンテナ・スイッチの設計開発・製造・販売を行っておりますが,構成部品の半数以上は中国業者に製造委託,あるいは既製品を購入しております。
現在取引している中国業者にはRoHS以外の化学物質規制が浸透していない様で,各種規制に関する含有有無等,業者からの情報入手に苦労しております。かと言って都度都度外部機関に分析委託していたら莫大な費用が掛かってしまいます。何か費用面や工数面で負担が掛からないような方法はないものでしょうか?
A : 発表スライド「島津製作所RoHS分析室での取り組み具体例」の6ページに記載していますように,自社で検査することによって,
①協力会社の品質管理レベルを最終確認できる
②品目毎に品質が中長期的に安定していることを確認できる
③高リスク品の品質確認や監査対象となる仕入先を選定できる
などのメリットがあります。また,品質が改善されてくれば,検査数や検査頻度を見直すことも可能ですので,長期的に見れば費用面や工数面を抑えることができると考えています。
Q : 中国で生産している製品に使われている材料のサイレントチェンジ確認をする方法があれば教えていただきたい。
A : EDXでの定性分析やPy-GC/MSでのTICクロマトグラムを従来品と比較するだけでも,サイレントチェンジを確認することができると思います。
Q : 社内への化学物質規制対応の重要性の説明,理解に苦労している。
化学アレルギー,知らない人,わからない人への理解・・・
A : 欧州で販売される場合は必須と思います。例えば欧州ではデジタル製品パスポートというものを導入しようとしていますが,そこには含有化学物質情報が含まれます。これがないと,将来欧州で製品は販売できなくなります(エコデザイン規則の一貫として,まもなく法案がでます)。今の時点から対応をしていかないと,販売にも影響がでると思います。
Q : 測定値の下限で誤検出と思われても数値としてでてしまうケースがありますが,検出しないようにできないか。
A : 誤同定したピークを削除するショートカットキーがございます。削除したいデータのクロマトグラムを選択し,ShiftとCtrlを押しながらマウスをダブル右クリックすれば同定結果を削除できます。操作にご不明な点があれば,弊社コールセンターまでお気軽にお問い合わせください。
Q : 弊社では燃焼式イオンクロマトグラフを保有しておりますが,カラムや装置自体の管理が煩雑な部分があります。ぜひ,簡便でメンテナンスが簡単な装置開発を継続して頂きたい。
・GC-MSについてもう少し,安価でスクリーニングできるような分析器が欲しい(定性分析だけでも)
また,メンテナンスももう少し簡単にできるように。
・ご説明有難うございました。
A : 貴重なご意見ありがとうございます。お客様にご満足いただける装置開発を継続して進めて参ります。
Q : PFASやREACH規則の化学物質の検査をしたいのですが,どうしたらわかりません。なにか参考になるものなどありますでしょうか。
A : 一部のPFAS(PFOS/PFOA/PFHxSなど)の分析にはLC-MS/MSが用いられています。弊社でも飲料水中のPFAS分析用のメソッドパッケージをご提供しています。https://www.an.shimadzu.co.jp/lcms/tq-option/pfas/index.htm。
一方,PFASを網羅的に分析する手法はまだ確立されていないと認識しています。弊社でも質量分析計などを用いた知見はあるものの,今後調査が必要と考えております。
Q : EDXのスクリーニングキットに有効期限や校正証明書などはありますか?
A : スクリーニングキット自体は有効期限がありませんが,付属の管理試料は2年の有効期限があります。管理試料の校正証明書はありますが,キットの証明書はありません。
Q : 2016年ごろ,Py-GC/MSを購入いたしました。Py-ScreenTM ver.2のシステムを導入することは可能でしょうか?
A : はい,可能です。
Q : いつもお世話になっております。やはり新規規制候補物質の分析をどうずるか,がいつも課題になります。
A : ご指摘の通りだと思います。引き続きお客様にとってご負担の少ない分析装置や分析法の開発を進めて参りたいと思います。
Q : Py-GC/MSを使ってフタル酸エステルの定量を行う為の,操作方法の説明をお願いします。
A : Py-Screeneによる一連のスクリーニング検査の流れを動画にまとめました。よろしければご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=MV2RMucwPEY
Q : SVHCなどで分析方法の指定がない方法の分析方法の検討の仕方について
A : 文献などで調査いただくのが一番かと思います(見つからなかった場合は,類似物質の分析法を調べます)。その後,回収率や再現性などを確認する手順に移行します。
Q : 弊社は受託分析会社となりますが,時々金属部品についてフタル酸エステル類の分析を依頼されることがあります。島津テクノリサーチ殿などでは,今までにそのような依頼(問合せ)はありましたでしょうか?また,依頼(問合せ)があったときはどのような対応をされましたでしょうか?
A : 弊社ではそのような分析依頼はございません。一方,欧州化学庁の情報によると一部のフタル酸エステルは接着剤や潤滑油,グリスに使用されることがあるそうです。そのため金属品にフタル酸エステルが残留していないかを確認する目的で分析ニーズがあるのだと想定されます。
Q : 新たな規制物質のエビデンスが無い。
有機物の規制が広がることに対して,今でも我々の化学の知識が不足気味。先々に付いていけなくなる危惧があります。
A : 弊社は欧州に拠点を持っており,いち早くRoHS指令やREACH規則の規制情報を入手するように務めております。得られた情報は,今回のようなセミナーなどを通じて発信するよう検討して参りたいと思います。
Q : 部品(IC等)の分解方法や前処理について情報が知りたい。
A : 当初,ICなどは分解して検査していましたが検出事例がない箇所は検査対象外としてすべての箇所を検査しておりません。
Q : EDX-7000での検量線について,下限値といいますか,ppm~100%で検量線を作成とありますが,元素に対して,最低値は10ppmで検量線を作成した,5点測定した,など,情報ありましたら教えていただけますと助かります。外部のお客様から下限値を教えてほしいという依頼がくることもあるため,回答でするようにしたいためです。
A : 検出下限値を出す際の濃度範囲は想定の検出下限値付近を含む試料4-5点程の濃度0ppmから数1000ppmが良いと思われます。
Q : 分析での困り事は現在ないのですが,検出下限値と検出限界値の定義・違いについて,自分なりに調べてみたのですが,明確にわかっておらず,教えていただけないでしょうか。
A : 一般的に,"検出下限"と"検出限界"は同じ意味を示しています。JIS K0114(分析化学用語(基礎部門))では,ともに「検出できる最小量(値)。」と定義されています。求め方は,規格や法令などによって異なることがあります。
一方,類似した用語で"定量下限"があります。JIS K0114では,「ある分析方法によって分析種の定量が可能な最小量又は最小濃度。」と定義されています。
Q : 「RoHS検査室での取り組み具体例」の講演の中で,TOTMが加熱によりDEHPを生成というお話がありましたが,ゴム練り工程での温度(100~180℃で5分程度)でも生成される可能性はありますか。
A : 弊社ではそのような経験がないのでコメントは差し控えたいと思いますが,一度TOTMを添加したゴム試料と添加していないゴム試料を作製し,ソックスレー抽出-GC/MSで測定されてみるのはいかがでしょうか。両者のDEHPの検出量を比較することで確認できると思われます。
Q : RoHS分析に関して,EDX-7000を導入しスクリーニング分析を実施していますが,メーカ保証の最小分析径はφ3㎜ 100secとなっております。
部品の微細化が進んでおりφ1㎜または微小部分析ユニット(φ0.3㎜)でメーカ保証のスクリーニング分析のレシピがありましたらご教示いただきたくお願いします。
A : 島津として推奨しているX線照射径はφ3mm以上ですが,1mm以下の径での測定も,別途条件を用意頂いたら設定することは可能です。
手順①「スクリーニング簡単設定」画面にて,1mmφで測定したい条件を選択し,「ファイル」-「条件設定プログラムで開く」を選択
手順②「グループ条件画面」にて,「コリメーター」を「1mmφ」に設定する。
手順③「ファイル」-「名前を付けて保存」を選択し,名前を付けて保存する。
この条件を使用いただくと,3mmφ以下の照射径で分析することが出来ます。
なお,照射径を小さくすると局所的な分析になるため,試料偏析の影響を受けやすくなります。また,感度低下が生じやすくなるため,スクリーニングの合否判定が困難になる場合があります。
Q : ①アンチモンなどの重金属をFP法で分析しても,真値と一致せず,検量線法に変更しました。FP法でできない物質を教えていただけませんか。
②欧州の通関で1000ppmを超えるフタル酸を検出できる装置を導入したと聞きました。これは事実でしょうか?
A : ① FP法で樹脂を分析する場合,主成分の仮定および厚さの仮定が必要になります。Sbなどの高エネルギー帯で測定する元素は,主成分をバランスに登録しただけでは,低めの誤差が生じやすくなります。2mm未満の薄い板であれば実際の試料の厚さ情報を,十分に厚い試料を測定する際には,装置の光学的な分析深さを考慮して3.5mm程度の厚さと仮定して定量することで,良好な定量結果が得られるようになります。定性定量分析条件で使用される場合「自動バランス追加」機能をご使用頂くことで,自動的に樹脂成分の仮定と試料厚さの仮定が使用されるようになります。分析者が設定するよりも精度は多少悪化しますが,厚さの設定を考慮しない場合よりも良好な結果が得やすくなります。
② 大変申し訳ございませんが,そのような事実は弊社では把握しておりません。
Q : 梱包箱等の印刷物のインク部分を採取して,GCMSにてフタル酸測定を実施したのですが,採取した人により測定結果が大きく異なっています(DEHPがAさん採取で1000ppm以上,Bさん採取で300ppm以下等)。恐らく,下地の紙部分の含有量で大きく左右されていると思うのですが,採取方法の決まり事等はあるのでしょうか?
A : ご指摘のとおり下地までかき取ってしまうと結果は異なってくると思います。ですので,弊社ではDEHPが数100ppm検出された場合,TOTM由来でないことが確認できれば,DEHPは1000ppmを越えて含有している可能性があることをレポートで報告するようにしています。最終的には,非含有証明や納入業者への確認などを通じて総合的に判断することになります。
Q : PFASに関する規制は,化合物がこれまで以上に膨大になると予測されますが,御社では何か策を考えていますか?
A : まずは使用実態の調査から開始しております。
Q : PBBs/PBDEsの定量分析について樹脂別の分析方法はIEC等で規定されるのでしょうか
外部分析機関も詳細は教えてくれないので(溶媒沈殿法はわかるのですが 貧,良溶媒までは教えてくれません)
A : PBBs/PBDEsの溶媒抽出法は,IEC62321-6で規定されています。また,完全溶解する樹脂に関しては溶媒沈殿法が認められていますが,その場合の良溶媒や貧溶媒は特に規定されていません。
Q : 全数検査の有無と方法。
A : 破壊検査となりますので全数は検査しておりません。
Q : PIP(3:1)の試料作りについて、マイクロシリンジを使うサンプリングが手間です。他の方法はありますでしょうか。
A : 今後の規制動向も考慮し,シート状の標準物質の作製を検討させていただきたいと思います。
Q : PFASは,対象物質数があまりに多く,サプライヤーからの情報入手も,分析による含有判定も,どちらも困難でないかと危惧してます。PFASのスクリーニング分析の事例などありましたら,教えてください。
A : ご指摘の通り,OECDなどの定義に従うとPFASに該当する化学物質は多数存在するため,簡便なスクリーニング法が必要だと考えられます。弊社でも質量分析計などを用いたPFAS分析の知見があるものの,スクリーニング分析についても今後継続した調査が必要と考えております。
Q : 世の中にはいったいどれほどの化学物質が有るのでしょう。有害な物・そうでない物,日々生み出されているもの・消滅してゆくもの。最近は天然物・自然界にある物質の含有調査もあります。
A : 以前,日本でも問題となった環境ホルモン(内分泌かく乱物質)が欧州で注目されています。日本でも今後,取り上げられることが予想されます。「欧州では,疑わしきは使わない」と言われる方もいらっしゃいますが,欧州などでビジネス展開するには致し方ないように思います。
Q : Py-Screenerでのフタル酸エステルのサンプリングで,0.5mgの試料量といわれていますが,どうしても必要試料量を集めることができない場合,スクリーニングの意味を考慮したうえで,500ppm,1500ppmを判定するのに必要な最小試料量はどのくらい(mg)でしょうか?
A : Py-Screenerを使用する場合,0.3~0.8 mgの試料量を推奨しております。その範囲の試料量が確保できない場合は,可能な量で分析をしデータを見て最終判断をしています(弊社でも,0.1~0.2 mgで検査することもあります)。
Q : 講演1:欧州化学物質規制の最新動向について ~RoHS指令,REACH規則~の内容にて
・法律の解釈例1で2015年秋に判決される以前に設計,量産されたもの(現時点では補給部品)はこの判決内容に合致しなくても問題ないか?
過去物の修理,補修は製造当時のままで良い=除外対象と言われていたので,この解釈が当てはまるのでしょうか?
A : SVHC含有量が0.1%以上の製品は,他の規則や制限・認可などで規制されていない場合は,情報伝達が必要になります。上市の禁止ではありません。ですので,これらについて情報伝達を行えば何の問題もありません。(現在は改正廃棄物枠組み指令で導入されたSCIPデータバンクにこの情報をインプットする義務があります。)2015年以前の保守部品については,Due Dillligenceでどこまでやるか,御社の判断しだいと思います。